今日は旅に出た。電車と徒歩で一時間ほどの
小さな旅。睡眠不足だったので、電車で目を
つぶったら、一瞬かなり騒々しい絵が見えた。
大変化前の大工事中。秘密裏に進められて
いた現場を偶然見てしまったような。駅を
降りてまずは自家製プリンとコーヒーセット
を食べるために沙羅珈琲という喫茶店に
入った。お昼時の貸切り状態。椅子の背もたれ
に深く寄りかかって足を伸ばしてみる。軽快な
ジャズのBGMが流れている。目の前にプリン
が運ばれた。少し緊張しながらスプーンで一口。
目を見開いて「美味しい」と思わず呟いた。
人生で一番美味しいプリンだと思った。絶妙な
甘さ。美しいカラメルソースの厚みと雪の結晶
のような細かい模様。女性の素肌のような質感の
フォルム。濃厚で手作り特有のバニラエッセンス
の香りが懐かしい。苦味も少なくまろやかで
透明感のあるコーヒーとの相性も抜群で、生き
返るとはこのことだと思う。店員のお兄さんに
美味しかったですと伝えて、店を出ると徒歩で
目的地に向かう。見知らぬ町を歩くのは楽しい。
人混みでは近すぎる息遣いがかすかに漂う閑静な
住宅街を歩くのが好きだ。途中神社に寄った。
何となくエネルギーのようなものを感じて丹田の
辺りがポコポコとして来た。ここが源泉だと
教えてくれているような気がした。神木が風に
揺れるのを眺めてふと目にした看板に救うの文字。
これもおそらく迷っている私に当てたメッセージ
だと感じた。四つ葉のクローバーを象った銀色の
装飾があるアパートを見つけた。あ、タブレット
の電池残量は44%。幸せというワードが思い
浮かんだ。写真に収めたその直後パラパラと雨が
降り出した。幸せは希望であって、実体がなく
儚いもの。自分の足で歩くことだと言われている
ような気がした。歌の練習をした。内側を宇宙だと
イメージして、丹田がその核、始まりであり成長
であると意識。その空間を響かせるように歌うと
歌いやすくなった。完成とは程遠いけれど、久し
ぶりに楽しかった。ちょっとした気分転換、
根詰めている作業の強制終了が功を奏すること
もあるのだという話。
