できる人、と思われたくなかった。
努力が大嫌いで、だからこそ良い評価をされることが嫌いだった。
人間誰しも偶然とか、局所的な得意不得意はある。たまたまそれができたからといって、他のこともちゃんと学んでてできるとは、思われたくない。
プライドが高い、と言われるのも一理ある。失望されたくない、とか、できない自分が嫌、っていうパターンも充分ありえる。
ただそこで、頑張って自分を高める、というのは、とても難しかった。それを考えることも嫌だった。それくらいなら死んで終わりにしたいと、ずっと思っている。
怠け者と思われるのも仕方ない。我ながら、よく定職に就けたと驚いている。できれば、早く辞めたい。悪い職場ではないのだけれど、私がとにかくなにもしたくない。
人として生きていくには、お金が必要で、お金を得るには、働くことが必要で……
もっと別の方法があるという人もいるかもしれない、でも自分にできるのはそのくらいだ、今の仕事が、賃金と休暇的には最適解であると思う。
とにかく、なにもしたくない。子供じみているだろうけど、責任が嫌なのである。
ただ、息をして、本当はそれも少しわずらわしいけど、息をして、それを止めるのはさすがに本能的にできやしない。
できない人でありたい、今でも充分できない人ではあるけど、まだ、期待される。期待は特に嫌い、理由は変わらない。
いっそ職を失った方が、楽に死ねそうな気がする。
仕事を変えるエネルギーは自分にはないから、辞めたならきっちりと死ぬ方が、世のため自分のためだと思う。
頑張りたくない、努力したくない、生きていたくない。
いじめもなにも辛いこともなかったのに、どうしてこうなったのか。