塾で一緒になる他校の同学年の男の子がいる。
頭がよくて歴史と映画が好き。…というのは、彼と塾講師の会話の中できいた。
男の子はいっつも先生とお喋りをしてる。今はもう慣れたけど、初めのうちはほんとイライラした。
その彼がこの間、不登校生徒の話をしだした。
「実はうちのクラスに、不登校の人がいるんすけど」
なんと!隣に座っている私は引きこもらない型の不登校生なのです!
もちろんそれを知らない男の子と、小刻みに震え出す私と、私の事情を知っている先生!!
「なんか小学校の頃から来てないらしくて」
さあてどんな悪口を言われるのでしょう!
「不登校とかクズっすよね。気持ち悪いなー」
「うらやましいわー、俺も休みたい(嘲笑)」
「どうせニートになる底辺野郎ども」とかなら言われたことあるよ!と身構えていると、
「いやあ、一回話してみたいんすよね。バカにしてるとかじゃなくて単純に」
……ん?
「俺友達いっぱい欲しいし、もしかしたらいい関係になれるかもじゃないすか」
「どんな生活してるのかとか聞いてみたい。知りたいなって思うんすよね」
意外な言葉を繋いでいく男の子。
こういう考え方をする人もいるのか、と少し安心していたら、手の震えも若干収まった。
ただ、
「そういう人って、嫌われちゃうから学校楽しくなくなるわけじゃないですか」
というのには、ん? てなった。
どうやら、不登校生はみんなに嫌われて学校行きづらくなった人という認識だそうだ。
「まあ、理由はいろいろだけどね」
先生、そこですかさずフォローを入れる。
先生が当たり障りなくこの話を終わらせようとあたふたしてるのはなんだか聞いてて面白かったけど、さらに話を続ける男の子は更に面白かった。(そして更にあたふたする先生)
そんなことがあって思ったのは、純粋に興味をわかれるってのは特に嫌じゃないなということ。
劣等感を感じる部分であっても、珍しがられるのってそんなに悪くない、と私は思うのだ。
(バカにされる、とはまた違う)
腫れ物に触るように扱われるより、「昼間なにしてんの?」「なんで学校こないの?」ってずけずけ聞かれた方がこちらも気持ちいい。
まあでも、下に見ずにそんなこと尋ねられる人ってすっごく少ないと思うんだけどさ。
下に見られることに寛容になりすぎて、他人との距離を測りかねたのが私の不登校の原因だしね。