先日、心に突き刺さるような歌に出会った。怒りのような、悲しみのような、訴えに満ちた男の人の声でそれは歌われていた。
どうして彼の力強い声を「泣きそうだ」と思ったのだろう。そして、どうして私はそれを聞いて泣きそうになったりしたのだろう。
英語の歌だから、意味は良く分からない。しかし、拙いリスニング能力を駆使した結果、どうやらそれは「戦地に残してきた子供たちに愛の手を」という内容の歌であるとだけ分かった。
──戦いが終わっても「戦争」は終わっていない。あなたの頭からも離れないだろう、戦地に残してきた子供たちの顔が。彼らは、我々の犯した罪の証拠なのだ。
その歌は、そのようなことを訴えているものだった。
その歌を聞いてからしばらく、私の頭の中で様々な顔が浮かんでは消えていった。それらは──どこかで映像として見たのであろう──戦争や貧しさや病気など「助けの必要な状況下」にいる子供たちの顔だった。
私はどうしようもなくなって、近所の店に置かれた小さな募金箱に小銭をいれてみた。それが何の募金なのかも良く分からないままに。
百円を入れた。その後に続けて、五百円を入れた。しかし、千円を入れるのはおこがましいことであるように思われ、手が伸びなかった。ただ出したくなかっただけのようにも思われた。
私は自分の考えが分からずに、しばらく募金箱を眺めていた。
彼らを助けに海外へ飛ぶ勇気もないくせに、自分のことさえ満足にできていない毎日のくせに、私はいったい何がしたかったのだろう。
募金箱へ入れた小銭は僅かであっても確かに何かの役にたつであろうに、募金という行為は今の自分にできる行動の確かに一つであろうに、私の心にどうしてしこりが残ったままなのだろう。
ふいに目頭が熱くなって、私は半ば走り気味に店を去った。
どうしてなのだろう。
私はどうしてまた泣きそうになったのだろう。そして、どうして涙をこぼすことはなかったのだろう。
全てが中途半端な疑問のまま残っている。
ただ、歌を聞いて、心打たれて、何かをしたいと思って行動した──それだけのはずなのに。
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ななしさん
あなたの純粋な思いは、きっと誰かに届くよ。
田中みこと
ななしさん
6448さま
それはミュージカル『ミス・サイゴン』のナンバー“ブイドイ”ではありませんか?
とても心に響く名曲です。CD発売もされていますから、是非聞いてください。
他にもたくさん名曲があります。
戦争について、命について、そして愛するということについて。
考えさせられる作品です。
清水華子
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