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小説「相乗り夜汽車は何処へ行く」星霜編 第二項

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俺には生前、二人の親友が居たんだ。
なかなか学校に行けてなかった俺にも、普通に接してくれたんだよ。
学校に行けなかった理由は今もよく分かってないけど、どうしてもしんどかったんだ。
多分だけど、俺は人より精神の成長が早いんだ。多分ね。
だから周りがどう思っているのかとかに敏感で、人がいっぱいいる学校だとそれが顕著になるんだよ。
人のさり気ない悪意の言葉に辛くなったり、周りを考えない言葉に振り回されて人より疲れちゃってさ。
でも周りは子どもだから、許してあげるしか無いって大人達は言うんだよ。
それがどうにも腑に落ちないし、ずっと引っかかってたんだ。
大人、大学生くらいになったら周りも同じになるよってよく言われたけど、そんなの関係ないんだよ。
俺達にとっては今が全ての世界だろ。
こんな話を親友たちにしたことがあってさ。

「だから、俺は部屋に閉じこもっているんだよ。」
一通り話し終えると、伏せていた視線を二人に向けた。
きっと気まずい雰囲気になるだろうなと覚悟していた割には、二人はあまり変わっていないように見えた。
綺羅はともかく、優希はどうかと目をやると、何か考えているような仕草を見てた。
と、優希が尋ねた。
「部屋にこもって何してるの。」
「まあ、まちまちだよ。絵を描いてることが多いかな。」
こうは言ったが、絵は将来仕事になるだろうと思って齧りつくように描いていた。
将来、会社員として規律を守って働いている自分は、なかなか想像出来なかった。
すると今度は綺羅が口を開いた。
綺羅から話しかけられるなんて珍しいことだった。
「それ、楽しいの。」
「……え。」
その言葉は予想だにしないものだった。
固まった俺をよそに、綺羅は語り続けた。
「誰かと共有すると楽しさが生まれるって先生が言っていたからさ。まあ、僕には分からないけど。」
こちらをまっすぐに見据える色素の薄い目に、つい圧倒されてしまう。
その言葉は、俺に重くのしかかった。
自分が絵を描くのは、学校に行けていない自分に価値をつけようと焦っているからなのだろうと悟った。
俺はその日、現実の輪郭を捉えすぎた。

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