「その汽車はね、とても美しかったんだよ。俺はそれに乗って旅をしていたんだ。」
「ついに病気が脳にまで来たか。それとも夢幻か。」
「はは、酷い言われようだな。本当の話さ。」
私は苹果を手に取りますと、慣れない手つきで剥きはじめました。
「いいよ剥かなくて。怪我してしまうだろう。」
「酷い言われようなのはどっちも変わらないな。続けてくれ。」
「色んな人に会ったよ。解放されると言った人も居れば、捕らわれると言った人も居たさ。」
「……へぇ。」
私は彼の言わんとすることが分かってしまった気がして、耳を塞ぐ代わりに苹果を剥くのに集中しました。
「車掌さんにね、切符を出せって言われて。その時俺は持っていなかったんだよ。」
「それじゃあどうしたのか。」
「そしたら、『貴方はもう一度この汽車に乗ることになる。今日はそれの予行です。』だとさ。」
「……なんだ、それ。」
「俺も分かんないさ。」
切れた苹果を手渡すと、ありがとうと言って齧りはじめました。
「若いうちから無理するからだぞ。酒飲みすぎたんじゃないのか。」
「はは、否めないさ。」
「またそう言ってだまくらかして。いい加減にしろよ。」
ついかっとしてサイドテーブルを叩くと、花瓶の水がびちゃっと溢れました。
「あまり怒らないでくれよ。全ては俺が決めたことなんだから。」
「……いじめられて、人が信じられなくなって、じゃあ児相でいじめ加害者の更生の仕事をしようとか、馬鹿じゃねえの。」
「そんな事言うなよ。確かにしんどいこともあったけど、やりがいのある仕事だったよ。」
「嘘つくなよ。仕事から帰ったら吐いてばっかりだったくせに。……自分自身の心が勘定に入ってないんだよ。」
彼は切なげに俯きました。そんな顔をさせてしまったことに動揺しておりますと、急に何事もなかったように笑顔になりました。
「まあ、今度は俺達二人で何処か出かけようや。」
彼が亡くなったのは、その二日後でした。
お返事がもらえると小瓶主さんはとてもうれしいと思います
小瓶主さんの想いを優しく受け止めてあげてください
nanaha.
彩紗さんへ
お返事ありがとうございます!
冗談を言い合える関係って良いですよね☺️
こういうシリアスな場面でも、和ませてくれる遠慮のない親友も居てほしいものです!
実はこの親友にもモデルが居て、そのキャラは女性恐怖症を治すためにホストをやっているんです。
で、「彼」のモデルの人が自分を大切にしろって怒るシーンがあるんです。
結構インスパイアされて書きました✨️
銀河鉄道の夜にも切符の場面があるんです🎫
あと、「苹果」の漢字も出てくるんですよね🍎
今回の小説はインスパイアを集めて書く感じになりそうです!
確かにやめ時がわからないって言っている人、よく居ますよね…。
「夜ご飯だからやめるね〜」って言ったらすぐやめられるぐらいの、さっぱりした関係が良いものです(*´ω`*)
はい、またコメントしてくださると幸いです!
彩紗··
「彼」と「親友」は本当に気が置けない仲なんだなって思った
体を起こせない友達に「夜汽車に乗って旅をした」って言われたら
私は「うん」とか「そっか」しか言えない
脳まで来たか、って言えるほど、遠慮のない関係の人はいないなぁ
お互いに「酷い言われよう」って言ってるけど、信頼関係がしっかりしてないと言えないことだよね
「親友」はお酒の飲み過ぎで病気になったのか、と思いながら読んでたら…
もしかして、仕事のことが原因で病気になった?
起き上がれないくらい、心を病んでしまったような印象も受ける
それなら、「彼」が花瓶の水がこぼれるくらいテーブル叩いて怒るの当然だと思う
今回、少しだけ謎が明かされたね
星芒って切符がないと駄目なんだ
「親友」は、目的地まで行かずに戻ってきたってことだよね、きっと
乗った時と同じように、目を開けたらワープして帰ってきてた感じかな
登場人物の名前が出てこないの、こだわりだったのか(꒪ˊ꒳ˋ꒪)
ところで、りんごを苹果って書くの初めて知った
読み方わからなくて調べたんだ
昔はこう書いてたんだね
確かに、漫画、アニメ、ボカロ、ネット、ゲーム辺りが趣味の人多いよね
やったことないけど、私「チャット」って苦手だと思う
なんか、切り上げ方がわからない
やり取り終わらせたいのに続きそうでコワイ
小説の話だとしても、チャットは無理かな
宮沢賢治の妹(いたんだ👀)も調べてみるね!
情報ありがとう
相乗り夜汽車は何処へ行くの続きも待ってるよ(⁎˃ᴗ˂⁎)
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