甘酸っぱい雰囲気がわからない。
独特の両片思いの雰囲気がわからない。
違うと思うけど、でもちょっと期待してしまう。
一度、二人はどうしてそんなに仲が良いんですか?
と聞かれたことがあります。
聞かれて、その人と顔を見合わせました。
お酒も入っていました。
ふたりともだいぶ酔ってたと思います。
私は、その人の顔を見て、首を傾げました。
その人に(私達、仲良いですか?)と聞きたくて。
あとその人がなんて思っているのか知りたくて。
そしたらちょっとニヤニヤ、ニコニコと私を見つめながら、
一言「腐れ縁」とだけ笑いながら言いました。
私は、ちょっとだけ、腐れ縁って良い意味じゃないよね…とがっかりしながら、何も聞きませんでした。
その人が腐れ縁だと理解しているのは、曲げようもなく、そしてそれを深掘りするのは変な空気になりそうだから。
帰り道は偶然ふたりっきりでした。
街の喧騒の中、同じ歩調で歩きながら、別にロマンチックな雰囲気にもならず、いつも通り事務的で。
あぁ、この人とはそんな雰囲気にはならないんだな、と安心しつつちょっと残念な気持ちになったことを思い出します。
ムードなんて無い。
会話だって、
忘れ物無いですか?
スマホが見つからなくて。
あれさっき鞄に入ってましたよ。
え?あった?ほんとだ。あった。
お金は?落とさないでくださいね。
大丈夫だと思うよ。
電車の時間は大丈夫ですか?遅れないでくださいね。
大丈夫だよ。ありがとうね。
ちょっと、道じゃないですよここ!舗装されて無い!
あーごめん、ごめん。
もー、足元危ないじゃないですか。
ほんと、ごめんね。
そんな会話を淡々として、
ふたりの間は、ちょっと手を伸ばせば届きそうなくらいを維持していて。
でも決して縮まらない距離感を、少し残念に思いながら、でもそれにホッとしていました。
慣れすぎて、当たり前になってしまったのか。
それとも、私と、この人が元々こんなコミュニケーションを取る人だからなのか。
もうわからない。
存在が当たり前になりすぎて。
そばにいて当たり前になっている。
だから本当は失うのが怖い。
その人と永遠に会えなくなる日が、会えなくなることを悟る日が怖い。
不安になればその人に頼り。
その人も困れば頼ってくる。
私は、気持ちの支えとして。
その人は、業務のフォロワーとして。
私は、その人のパートナーじゃない。
そこまでの能力は無い。
いればちょっと便利くらいな存在なんだと思う。
私が優秀なら良かった。
でも優秀だったら、その人のそばにはきっといられなかった。
でもずっとそばにいたから。
4年なんて大した年数じゃない。
でも他の誰かより、ずっとその人の近くにいたから。
でもそう思っているのは私だけなのかもしれない。
その人にしたら、私は、仕事を一緒にしている単なる後輩なのかもしれない。
偶然近くにいた、取るに足らない存在なのかもしれない。
離れれば、私の代わりなんて誰でもいいのかもしれない。
期待したら傷つく。
踏み込めば余計な悩みを抱える。
その人とは「いつもの」が通じる存在です。
今回はどうしますか?そう尋ねると、お願いしようかな?いつもの、だよね。そう笑ってくれます。
何かのサポートがあれば、言わなくても私がしたことは察してくれます。
私が用があってデスクを訪ねると、たまにいたずらっ子のような顔をして、いじってくることがあります。
私がちょっと困った顔をすると、それを見て笑っていることがあります。
私がやり返すと、ちょっと面白そうに見つめていることもあります。
ちょっと失礼な返しだったかな?と不安になっても、笑ってくれています。
年が離れた後輩がしたことだからと、寛大にしてるのかもしれませんが。
私の自惚れかもしれない。
妄想してるだけなのかもしれない。
でも、少しでも、特別な何かが二人の間にあれば、そう願わずには居られないのです。
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