僕の高校時代はまさしく灰色だった。
友達と呼べる人はいない。
恋人もいない。
部活には入っていたので、部員同士のつながりはあったものの、全員常にどこかギスギスしていて、仲が良いとは言えなかった。
話せる人はいたが、その人もすでに友達グループに入っていたので、自分はその輪にも入れず微妙な仲。
周りを見れば一人の子なんていくらでもいたが、その子たちも何考えてるかわからなかったので友達になれることもなく。
友達とも知り合いとも仲間とも言えないような薄くてよくわからない人間関係がずっと続き、そのまま卒業。
その後1年の浪人を経て大学入学したが、コロナが直撃したのでまたも同じような状態に陥り結局青春と呼べるものは一つもなかった。
思い出の写真もほぼ残っていない。
まさにあれは死んでいたような毎日だった。生きた心地がしなかった。
蝉の抜け殻のようだった。
世の中には未だに友達がいて、恋人がいて、ワイワイして時には辛い思いして、それでも乗り越えて強くなって…なんて、いかにも「王道」な青春物語が世の中蔓延っている。
だが、とっくに10代を通り過ぎた自分には甚だどうでもよい。
もうそんな青春にこだわるのはやめようか。
騒がしい友達も可愛い恋人も、いなくていい。
僕は羽の折れた鳴けない蝉だ。
とっくに地面に落ちている。
蝉の人生は命が尽きて地面に落ちてから初めて始まる。
死体は今腐ってぼろぼろになって土に還る。
そして花を咲かせる。
それは美しくもない、どぎつくて汚い花かもしれないが、それが自分なのだ。
今僕は生まれ変わって新しい人生を始めよう。
もう失ったものは二度と戻らないし、手に入らないものも山のようにある。
それでいい。失って初めてわかることもあるのだから。
失ったものを胸に、これからの時代を生きるしかない。
そして、これから出会うものたちを、ただ素直に受け入れて生きよう。
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