母がなんかおかしくなっちゃってるらしい。
年とって。
なんか愚痴と不満と悪口だらけで。
母を捨てた私のことを責めて悪口言って、私へのあてつけのように母と暮らし始めたアニキも参ってるって。
だからさ、ほら、私じゃないよ。
分かった?
あの人はずっとずっとそうだったんだよ。
愚痴と不満と悪口。
昔から思う通りにならないことだらけなのは、全て自分以外のせいなんだ、あの人は。
年をとって、頭の働きが低下して
さらに他責思考、被害者意識が強まったかもしれないけど。
今に始まったことじゃないんだよ。
幼い頃から最も身近にいた私は、母の感情のサンドバッグにされ続けてた。
父も兄たちも、面倒は全て私に押し付けた。みんな無意識にしてたんだよね。
意識的だとしたら私は完全に生け贄だもの。そんなのひどすぎる。
今ならわかるよ。
母にとって私は愛しい愛しい娘。
可愛がり着飾らせ、自分がやりたかったことをやらせる、実現してもらうためのマリオネット。
そして思い通りにならなければ責め立て引っぱたき物を投げつけ罵倒しまくる、ストレスのはけ口にもなる。
こんな都合の良い存在、簡単には手放したくないよね?
家族のみんなも私の泣き声、無視して「あ〜あ、あいつまたワガママ言ってママを怒らせてるな。あいつが悪いんだ」って、家庭内の不愉快は私のせいにしておけば全て丸く収まったんだよね?
ママには娘を、妹をあてがっておけば家庭内は平和。
自分たちに鬱陶しいことが降りかかるのは防げる。
みんな、それに気づいてたんだよね。
私だけが「何か変、何か変」と思いながら、自責に苛まれて苦しんで心を病んで、その果てに目が覚めたんだ。
おかしいのは私のほうじゃない!と。
私が何をしようとこの人が満足することはないのだ、と。
私が彼女の望む何かを成し遂げれば成し遂げたで、わざとらしく「あ〜あ、ママも◯◯したかったなぁ」などと、
羨望なのか嫉妬なのか嫌味なのか当てこすりなのか、たぶん全てが入り混じったセリフを聞かされる。
当然、できないことは「何で◯◯しないのよっ!」「ママだったら◯〇するのに!」と責め立てられる。
「私より幸せになって。でも私より幸せにならないで。あんたが私より不幸でかわいそうなままでいてくれたらママは幸せ」という母の内なる声がいつしか聞こえるようになった。
でもすぐにはすべてを終えられなかった。
娘である以上、そういう育てられ方をした以上、私は望む望まないに関係なく母を喜ばせよう、幸せにしようと虚しく自分を削り続ける。
まるで本能みたいに。本当は嫌なのに。
そうして私はどんどん不幸になっていくのに。
それでも母が幸せならいい。まだ報われる。
でも何をしてあげても無理なんだ。
自分から幸せになろうとしないこの人は、たれが何をしてあげても文句ばかり見つけて幸せになんかなれないんだ。
ねぇ、私が悪いの?
私がすべて悪いからママの愚痴を止められないの?幸せにしてあげられないの?
ものすごい苦しさ。葛藤。罪悪感。
その苦しさの究極地点で
「これ以上、この人に人生を食いつぶされるのは無理!」と、ある日突然答えが出てしまい、絶望して母を捨てたんだ。
ずっとずっと会っていなくて、
この先も死ぬまで会うつもりはないし、時たま兄から様子を聞くだけだけど、
いまはかわいそうだな、と思う。
一生、自分の人生を生きずに終わるんだな。
一生、文句と愚痴とを言い続けて、誰のことも愛さず誰からも愛されない。
心の中では愛を求めていても、これじゃない!こんなの欲しくない!とタダをこねまくって、結局なに一つ得られない。
もうたくさん得てきたはずなのに。
たくさんの良いものも良いことも。
得てきたものに目を向けず、それらはまるでオマケにすぎないかのようにチラリとたまに見るだけで、取ってつけたような感謝は長続きしない。
90%の足りないこと、不満、愚痴を並べたてていれば、何が自分を不幸にしているか気づけるはずがない。
可哀想だと思う。
一生このまま。
自分を満たすには自分で選び取っていくしかないんだよ。
得たいものがあるなら、自分の足でそこまで歩いて行って確かめなくてはならないんだよ。
自分の代わりに、私にそれをやらせようとなんかしないでほしかった。
自分は動かないままで、行きたい場所へ私に連れて行ってもらおうとなんかしないでほしかった。
だから私は、いまだに自分が何を得たいのか分からないんだ。
ひとつ一つ不器用にゴワゴワ一歩を踏み出し、目的地にたどり着く前に引き返すようなことを繰り返してる。
ママもきっとそうだったんだろうな。
おばあちゃんからの呪い。
ママが自覚しなかったから、そのまま呪いは私に降りかかった。
私は気づいたから結婚しない、子供も持たない。こんな呪いの連鎖、終わらせたい。
かわいそう。一生気づかないまま日々、文句ばかりで。
それを口にして人に聞かせてるつもりなんだろうけど、いちばんその文句を聞き続けてるのは自分なんだよ。自分を不幸にする呪いを自分にかけ続けているんだよ。
だって私はあなたの肩代わりをやめたから。
自分で引き受けるしかないんだよ。
かわいそうに。
もう気付けないよね。
もう無理なんだよね。そうしてあなたはみんなから気の毒がられたまま、慕われず愛されず、疎ましがられてこの世を去るの。
かわいそうだ。
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