『お前の其の全てが分かる、俺には伝わる』
ノマド「ははっ、、、何言ってんの?同情なら要らないよ」
そう言いながら俺を睨む。
此処で怯んだら駄目だ。
此奴を連れ戻せない。
彼奴等の元へ帰せない。
伝われ、伝わってくれ。
『お前の全てが分かるから、分かってしまうから___』
“其の全てを分けてくれ”
ノマド「思っても無いことばっか、、、言いやがって、、、第一、何?全てを分けろ、とか意味分かんない」
ノマドが俺を否定するかの様に言葉を並べる。
俺の想いが伝わらなかった。
いや、伝えられなかった。
此奴の心には俺の想いは辿り着かなかった。
『俺の腕の中で、温もりが消えたんだ。母親の、、、温もりが、、、』
自然とそんな言葉が喉を通り抜けた。
ノマド「はっ、、、、、、?」
ノマドが驚いた表情を浮かべる。
小柄な俺より小さくなった母親は苦しみながら俺の腕の中で息絶えた。
『人が、大切な人が苦しむのはもう見たくないんだ、、、もう、目の前から消えて欲しくないんだ、、、』
『今日、初めて出会ったお前達が今、大切なんだ。だから、だから、、、』
“哀しそうな表情を浮かべないでくれ”
『俺の前から___』
“消えないでくれ”
『お前達の誕生日も祝う、好きな物も食べさせる、沢山遊ばせて、勉強もさせて、、、不自由無く、幸せに暮らせる様にするから』
“もう俺を、暗闇の中で一人にしないでくれ___”