セラフ《総員に告げる!A国から数千の兵士と数十の爆薬物が接近中!軍兵は直ちに装備し、訓練場に集合せよ!》
セラフの放送は軍に入ってまだ戦場に立っていない俺でも分かった。
この放送が入ったということは、、、
シフォン「この国に危険が迫っている、、、」
その言葉に尽きた。
シフォン「軍兵の人数や攻撃手段を披露して先制攻撃を撃とうとしてるんだ」
ノマド「なんで?!開戦は明日のはずじゃん!」
シフォン「聞いたことがある。A国は勝利を収める為ならばどんな手段も選ばないって、、、」
ノマド「何だよそれ?!そんなのイカサマじゃん、、、」
シフォン「取り敢えず訓練場に行こう。きっとカルマからも話される」
ノマド「ちょっと待って。こんな時すらカルマからしか話されないの?カルマよりも階級が上の奴が二人位いるんだろ?!いつもいつも、カルマばっかが責任者になって、なんでカルマが、、、カルマばっかに責任を持たせるの?」
シフォン「それは、、、」
ノマド「、、、ごめん、話せないならいいや。恐怖で気が短くなってるのかも。早く訓練場行こ」
シフォン「うん、、、」
ギスギスした雰囲気を気にしないように部屋のドアを開けた。
開けたと同時に隣室のドアが開いた。
同期の部屋だった。
同期はいつも笑顔を絶やさない奴だった。
だけどその時は目尻に涙を溜めて走っていた。
彼奴も死ぬのが、戦場に向かうのが嫌で嫌で仕方がなかったのかもしれない。
走って訓練場に行くと大体の軍兵が集まっていた。
いないのはカルマとメシア、セラフだった。
訓練場はいつにも増して騒がしかった。
皆、騒がしさで恐怖を紛らわそうという魂胆が丸見えだった。
誰かの咳払いが訓練場に響いた。
途端、先程までの騒がしさから一変し、静けさが訓練場を覆った。
カルマだ。咳払い1つで静かにすることができるのはカルマしかいない。
カルマの両隣には先程までいなかったメシアとセラフが敬礼をしていた。
二人をじっと見つめた。
カルマは顔が青くなっていて、セラフは小刻みに震えていた。
二人も、怖いんだ。