学校の帰り道。
夕立の中。
一人寂しく。
傘も差さずに。
歩いていく。
ずぶ濡れになり。
下着が透けても。
気にせず歩いていく。
整った髪は崩れ。
鞄はぐしょぐしょ。
それでも彼女は歩いてる。
駅の構内で。
駅員に声を掛けられても。
まるで何もないように。
すたすた無視して歩いていく。
ホームに上がり。
列車到着のメロディが流れる。
彼女は鞄を置き。
中から一枚の封筒を取り出して。
私に渡す。
もうそこに列車が来る。
瞬きするあいだに。
彼女は意を決し跳んだ。
列車が警笛を鳴らしても。
もう遅い。
気づけば彼女は死んでいて。
私は体中に返り血を浴びていた。
ふと封筒に目をやると。
返り血に滲んだその封筒の真ん中に。
小さく細めの文字で。
「遺書」と書かれていた。
『血だらけのその封筒に』
終わり。