妹へ
ごめんね。叩いちゃって。痛かったよね。
ごめんね。怒鳴っちゃって。怖かったよね。
いつも優しいお姉ちゃんでいられればいいのに,時々怒って傷つけちゃう。もう高校生なのに。君はまだ小学校生なのに。今日も叩いちゃった。この前は殴られたから殴り返した。お姉ちゃんの方がずっと力が強いのに。頭を殴ったこともあった。髪の毛を引っ張ったこともある。何本か抜けて君は泣いてた。ごめんねって言えなかった。
1か月前かな。たこ焼き食べてたよね。些細なことで喧嘩になって,かなりの口論になって,馬鹿にされて頭にきてたこ焼きを投げつけた。何も考えなかった。めったに泣かない君が泣き出して,やっと冷静になったのにごめんねって言えなかった。お前が悪いって言い続けた。何日か手と首が赤くなってた。なのにごめんって言えなかった。
こんなクズなお姉ちゃんでごめんね。お父さんとお母さんと3人だったら幸せだったのかな。
お前のこと世界一嫌い
違うよ
とっとと死ねよ
違うよ
本当はこんなこと思ってないよ。特別だよ大切だよ大好きだよ。可愛いって思うのに,すぐに感情的になっちゃうんだ。
布団に入って今日もダメだったって泣きながら後悔するのに変われないんだ。
ごめんね。あと2年だけ待って。高校卒業したら出てくから。お姉ちゃんは結婚も出産もしない。きっとその人達のことも傷つける。お姉ちゃんはね。人と暮らしていいような人間じゃないんだよ。
ごめんね。優しいお姉ちゃんになれなくて。面とむかって謝れなくて。ごめん。ごめん、ね。
虐待されている子へ
すぐに逃げてください。難しいことを言っているのはわかっています。それでも私は代わりに通報することはできません。周りにいたとしてもなかなか気づいてあげられません。
友達でもいい。先生でもいい。近所の人でもいい。警察でもいい。児童相談所でもいい。
誰かに助けを求めてください。
でもこれだけは忘れないで。
あなたは特別な人です。大切な人です。
親に,家族にどれだけ否定されようと間違ってるのはそいつです。
というかそいつにとってもあなたは大切な人なんです。私がそうだからわかります。この世には,私のように家族に優しくしたくても傷つけてしまうクズがいるんです。本当に心底いらないなら,産もうとなんてしないし,手っ取り早く捨ててしまうと思うんです。本当はたくさん愛してあげたいんです。暖かい家族になりたいんです。でもクズだから,人間としての何かがかけているから,あなたを傷つけるんです。
あなたは何も悪くない。私達がクズなんです。
児童虐待のニュースを見ると,いい名前の子が多いと感じます。虐待の末に自分の子を捨ててしまう,殺してしまうようなゴミクズも,その子が生まれてきた瞬間は,名前をつけるときは,きっと愛しくて宝物のような存在だったんだと信じています。大切にしたくても,頭がおかしいからできなかったんです。
あなたは尊い人です。あなたを傷つける人にとってもそうです。でも,そんなクズたちにはあなたと家族になろうと足掻く資格もまともに生きようとする資格すらありません。早く逃げて,通報して,然るべき裁きをうけさせてください。
愛してもらえないのはあなたに価値がないからじゃない。そいつがクズなんです。子供は親を選べません。どうか耐えようとしないで逃げてください。幸せに生きてください。
妹へ
ごめんね。お姉ちゃんクズでごめんね。
やっぱり寝てるの見ると可愛いなあって思う。
今度こそ我慢するからね。明日は喧嘩しないで遊べるようにするから。お姉ちゃんを許さなくていいよ。お姉ちゃんは許してもらう価値もない人間だよ。怖いから死ぬ事も出来ない。ごめんね。明日こそ優しいお姉ちゃんになるから。
おやすみ。また明日。