仕事を辞めて1ヶ月半、海外でバックパッキングをしてきた。アメリカ、ヨルダン、イスラエル、そしてエジプトを回ってきた。
賃貸アパートに帰還した後、わたしはただの無職27歳独身男性だった。
旅行に行った理由は、①海外大学院の情報を仕入れること、②中東で民族対立や宗教対立に触れることの二つだった。
海外の大学院は面白そうだし、ほぼ全てのリクワイアメントは既に満たしていた。楽しそうだと思った。
しかし、大学時代成績は良かったがろくに勉強したことがない自分自身と、卒業後の将来が心配になった。
あと、わたしは結婚したいんだった。日本を離れて異国の地で結婚できるか心配になった。
おれは大学卒業後何もかもやる気がなくなってしまったため、職歴はなくは無いが褒められたものじゃなかった。
じゃあ、海外営業の仕事をしようかとも思った。それもありかもしれない。割と人手不足の仕事だしおれの英語力だととってくれるとこもあるだろう。でもいつ戦争が起こるかわからない。そういうことが嫌になった。
また、仕事ができないん人間なんじゃないかと恐怖した。日本にいることでただでさえ日本人らしい自分が日本人らしいメンタリティから脱却できないのでないかと恐れた。
そうして、どっちつかずで麻痺したままの自分が残った。貯金を食い潰すだけの、ただの無職、アラサー。
おれが海外に憧れたのは、日本人のメンタリティが嫌いだからだ。純日本人の両親のもと、クリスチャンとして日本の田舎に生まれたおれは、周りから受け入れられなかった(少なくともそう感じていた)。受け入れられなかったのは、クリスチャンだからだけではない。おれは変わり者だった。みんなと話が合わなかった。いつも何か新しい知識を探していた。カビや菌類、ホームページ制作、宇宙、ミリタリー、考古学...
そういうわたしを両親や祖父母は神童か何かと勘違いしていたらしいが、現実はただの変わり者でしかなかった。
中学になって、わたしは我が世の春を謳歌した。勉強しなくてもテストの成績はすこぶる良かった。幸い彫が深く生まれたので少しモテ始めた。世界は自分のために約束されているのだと思った。
高校生になって、地域で一番の進学校に進学してやっと話が合うできる友人たちができた。やってみたい部活をやれた。彼女もいくつかできた。
しかしここで、初めておれは無能なのだ、頭は良くないのだという事実をたたきつけられた。数学がわからなくなった。英文法がよくわからなくなっった。
そしてなぜか友達とうまくいかなくなってきた。彼女のフラれた。
これまで上手くいっていたのに何故なのかわからなくなってきた。自分のプライドを支えていたものが全て消えてしまった。
そうして、ある朝わたしは高校に行こうとすると涙が出て、高校に行けなくなってしまった。
その後色々あって高卒認定を受けて、それなりに有名な私大にも行かせてもらった。英語も喋れるようになったが、そのあとどうしていいのかわからなくなった。
こうして、27歳独身男性、情けないスノッブが誕生した。ナルシシズムに溺れ、自分がただの凡人、いや凡人以下であることを受け入れられないスノッブが。
ユング心理学にでてくる原型の中に、永遠の少年(Puer Eternus)という像がある。これは母性に甘やかされ十分に自立できていない心の状態だそうで、河合隼雄によると日本の神話や人々の夢などによく現れるもので、日本人の自我のあり方を表しているという。
日本と日本人の未成熟な精神構造を嫌ったわたしは、そのわたし自身こそが永遠の少年から脱却できないままでいるのだ。
ああ、アメリカ人の友人たちにように生きたかった。そしてああ、日本の友人たちのように生きたかった。この痛みを日本人のゆう人に話しても、アメリカ人に話しても理解はしてくれなかった。どれほどシリアスにそのことを考えているかも解決法もそこにはなかった。わたしはどっちつかずのまま、社会の隙間にひたすら堕ちていく。
あれほど愛した、一生忠実でいようと誓った神は、もう自分にとってよくわからない存在になってしまった。そしてもはや、わたしの神に合わせる顔もない。神はわたしをいつも愛しているのだろうが、わたしが神にふさわしくなかったのだ。
こうして、あるスノッブが誕生した。永遠に少年のままの。永遠の反抗期が終わらないままの。
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ななしさん
興味深く、小瓶を読ませてもらいました。
他の人にはできないような、いろいろな体験をされたのですね。
あなたが永遠の少年かは分かりませんが…ユング派のM.L.フォン・フランツの『永遠の少年 星の王子さまの深層』という本の中に、解決法のようなことが書いてあったと思います。
いつかあなたの個性や経験が、人生で花開きますように。
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