楓が柔らかな黄緑色から紅葉し始め、じきに銀杏の木が色づく。本日はお日柄も良く、厚い雲が明るすぎる太陽に蓋をして、風は冷ややかに心地よい。私の世界は、秋を迎えようとしている。
怠惰な時間を過ごす毎日であるが、これを快とも不快とも思わぬうちに日が暮れる。若いうちは慌ただしくすべきだろうと言う世間一般に反し、友人の助言も当てはめず、ただ生きることだけをしている。
学ぶべきこともあろうが、そんな気にはなれない。
私は以前より、例え現実にすべきことがあろうと、額縁の向こう側の事のように思えてならない。今、何をすれば、将来有効であるなどと優秀なことはできやしない。
このまま時間が流れ、歳をとり、何も成さぬまま死を迎えることを何処かで恐るのである。
この今無駄になっていく時間を、悔いる将来が来るのだろうと、確信しても尚
私は怠惰であることから抜け出すことができずにいる。
この世界に良しや悪しなどは存在しない。
人が勝手に思うばかりで、時間はそのようなものを作ってはいないのだ。過ぎることしかこの世にはない。
だから今私がどう過ごそうと、これからどんな人生を送ろうと、それはただのすぎた結果であって、
悪い時間でも、浅はかな人生でもないのだ。
だからこそ、どうにか動いていたいと思ってしまう。
自己責任だと言われれば、心の隅でも焦るだろう。
やな時間だ、やな人生だ。
周りの人々のように、当たり前に努力して当然のように適当に、まるでマニュアルでもあるように生きれたらどれだけ楽だろうか。テンプレートのような会話をして満足できればどれだけ楽だろう。
足掻いてみたいものだなぁ。せめて、死ぬまでに。