私の夢がかなう日。私の夢は、夫の葬儀を終え、婚家から籍を抜き、どこか気候のよい土地で小さなアパートか団地の一室で静かに暮らすことです

私は５２歳の主婦です。夫と２人暮らしです。２００３年から２０１９年まで猫と暮らしていましたが、
先にお空へ行ってしまったため今は人間２人で暮らしています。

私は２０１７年に初期のがんが見つかり、幸いにも外科手術と放射線治療のみで済みました。
夫も２０１８年に肺にがんが見つかり、年末に外科手術を受けました。
同じころ猫もリンパ腫で体調を崩し、午前中に猫を動物病院に預け、午後は夫の見舞いをし、
夜は猫のお迎えに行くという生活をしていました。彼女（メスの猫だったので）もよくがんばっていましたが、
残念ながら翌年１月にお空へ帰っていきました。苦手な病院に通わされ、一人で留守番させられ
不安な中ほんとうにがんばってくれたと思います。一度、一緒に寝たときに「楽しかったね」という声が聞こえた気がしました。
彼女の声だったのだと思います。私も彼女と過ごせて楽しかった。あの世で会えたらありがとうとごめんねを伝えたい気持ちでいっぱいです。

夫は外科手術のあと、放射線治療、抗がん剤治療を行いました。肺の１/３を除去しましたが、骨とリンパ節に
転移があり、それをやっつけるための抗がん剤治療でした。５種くらい薬を変えて、２回の全身脱毛があり、
味覚障害、疲労感などさまざま副作用がありましたががんには決定打にならず、今は月１度の免疫チェック阻害剤の
投与と診察で経過観察をしています。
今までおよそ４年間の治療で、夫はだいぶやせ、若いころは私の分までスキー板２セット担いでスキー場へ行ったりしていましたが
今はお米１キロも持てません。スーパーへ買い物に行っても自分の要るものをカゴに入れたら車に戻ってしまいます。
歩くだけで脈拍が上がりすぎて苦しくなってしまうため余計な運動ができないのです。

ちょうどコロナ禍でリモートワークというものが始まり、夫もリモートワークの対象となり通勤回数がぐっと減りました。
彼にとっては幸いでした。家でソファに寝転がりながら仕事ができる、とてもありがたい状態です。
リモートワークなのをいいことに一日中ユーチューブを見るようになりました。好きな番組は私の苦手な心霊呪いの話です。
テレビからかびくさい臭いが流れてきている気がして、ユーチューブを見ているときは部屋から離れるようになりました。

私にとっては大きな環境の変化でした。朝出かけていく夫を見送って、洗濯など家事をして、データ入力の内職をする
という生活でしたが、夫が家にいるため、昼食を彼の職場の昼休み時間に合わせて用意しなくてはなりません。
夫は食が細くなり、何でも小盛にして、一口サイズにカットしないと食べません。食べないとますます瘦せてしまう、
職場の人やお友達に心配されてしまう、私は食事のことを一日中考えるようになりました。
特に夕食はお米のご飯を食べてほしいところですが、夫はどうしてもビールが飲みたいため主食は不要と言い、
おかずだけを数種類用意する生活になりました。

夫はじわじわと弱ってきています。去年は公園の端まで歩けたのに、今年は入り口だけで終わりにしてしまったり、
スーパーも広めのところは行けずコンビニだけになりました。
こんなに体力が落ちてしまうと、例えコロナ禍が終わり旅行へ行けるようになっても移動は車いすを借りなくては
いけないなと思います。

とても悲しいのは、絶対にお酒もたばこもやめないことです。職場内は禁煙ですが、家の中は吸い放題なので
以前より吸う本数が増えているそうです。家はたばこ臭いです。お酒も夕食時、寝る前ぎりぎりまで飲み続けています。
ベッド周りにはお酒のパックや空き缶がいつも散乱していて、それらを片付けるのが朝一番の私の仕事です。
翌日出勤する必要がないですからね。ログインさえできればパジャマのままでもいいわけです。
私はどちらもやらないのでお酒たばこの悪い作用を思うととても苦しく、やめてほしいと何度もお願いしましたが
聞いてもらえませんでした。彼の父、妹さんからもお願いされましたが聞かなかったため、もう誰が言っても
聞かないだろうと思います。

私の夢は、夫の葬儀を終え、婚家から籍を抜き、どこか気候のよい土地で小さなアパートか団地の一室で
静かに暮らすことです。ベランダでハーブを育て、たばこの臭いなどない清潔な部屋にして、音楽かラジオを
流してパンを焼く。たまに映画館へ行く。公園で散歩を楽しむ。
読書をしながらミルクティーをゆっくり飲む。夜はハーブを入れたお風呂につかり、
ゆったりといびきを聞くことなく眠りに就く。そんな静かな生活を送るのが夢です。
一人暮らし、楽しみです。どうかそのときまで元気でいたいです。残酷なようですが、その夢が今のぼろぼろの私を
支えてくれています。できれば、ＬＯＶＯＴと暮らしたいな。あの子たち、とてもかわいいですよね。