前の前の仕事をやめたあと、３日程で派遣会社からの工場勤務に入った。工場は毎年大きな労災がある危険な仕事だった。俺がやめる直前には他メーカーの同業の工場で死亡労災が発生していた。俺が入る数ヶ月前に労災で足の指を切断した人がいる工場で、なんと約３ヶ月無保険状態で俺は働いていた。１２月半ばから勤務を始めて、健康保険に加入出来たのは３月１日である。そして保険証が手元に届いたのは仕事をやめる直前だった。書面上の退職日の後だった。病気になっても医者には行けなかっただろう。この先もずっとこんな危険な綱渡りをして生きてゆかなければならないなら、働かない方がいい。それで食いっぱぐれるならそれで構わない。厚生年金にも加入してなくて年金事務所から催促状が来ている。派遣会社の社員として工場で働いていたから、当然きっちり事務処理もやってくれてたと思ってた。雇用保険だけは入社日から払っている。だから失業保険はきっちり貰わなきゃならない。退職証明書と離職票が届くのは退職日から1ヶ月過ぎてからになりそうだ。離職票を催促してみたが、お待ち下さいと返事が来てそれっきりだ。なので今は健康保険にも年金にも加入していない。もう、うんざりだ。俺だって頑張って金持ちになりたかった。俺をバカにした奴らを金の力で二度と威張れないように追い込んで懲らしめてやりたかった。
今、残された道は死んで悪霊になるか、生きて呪いをかけるか、それくらいしかない。
本当にもう俺はそうすると決めちまったんだ。
社会はそんな俺をどうしてくれるだろうか。今は俺が敵対してる。社会がどう俺を裁くだろうか。
