頭が働かず少しの読書で一日が終わった。トイレに行く元気もない。片付けが進まない。火事だと思えばいい。早く逃げないと。誰からも俺の姿は見えない。俺の声は聞こえていてもそれは記号でしかない。自分でもわかる。自分の存在が取るに足らぬ。トイレに長居する店員。ノックする。店員が出てくる。トイレの中で他人向けの自分に整えていたわけだ。他人を待たせながら。待っていた俺は記号でしかない。俺からは皆んなが見える。だけど皆んなからは俺が見えない。俺はいない。家には書き置きしかない。人が書いたものだ。この家に他にも人がいる証拠だ。