私は、書道を習っている。
書道は好きだ。部活を休んで大好きな先輩に会えなくなっても、書道には行きたい。
あの緊張感というか静けさというか、形のない空気感が美しい、と単純に思う。
だけど、書道以外の目的で字を書くのはとても嫌いだ。
というか、自分の字を誰かに見られることがすごく怖い。
だから私は、パソコンが好きなんだ。
親は、私を書道に行かせる理由を、私の日常的な字を綺麗にして頭をよく見せるためって言ってた。
でも、これは書道やっている人にしか分からない感覚かもしれないけど、書道のあの時あの場所で書ける字の感じと、日常的に手紙とかノートとかに書く字って結構違う。書道の時間に手紙を書いたら、たぶん、この字より、もうちょっとは綺麗。
親に日常的な字を見られたら、酷評だ。こんなんじゃ年賀状、友達のご家族に見られると思うと耐えられないって、さっきも言われた。
でも私は思う。
字が綺麗な人って、そんなにいい人に見えるかな?
もし私が友達から年賀状をもらったとして、めっちゃ迫力のある達筆で書かれてあったとして、だからって、その人の頭がめちゃくちゃいいとは思えないし、親友になろうとまでも思わないし、親が見ている幻想ほど、字の綺麗な人の印象って、良くはないと思うんだ。
ってかそもそも友達が頭いいって、別に不可もないけど可もないんじゃないかなって、思うんだ。
いいじゃんか。ちゃんとこの高校に合格したし、これ以上私が頭いい風に見えなくたって、別にそんな自慢話誰も聞かないと思うんだ。
そして仮に私が頭良かったとしても、あんたらの手柄じゃないわけだし。
わかんねえや。