聞いてください
わたしは原石として今工場にいます
歯車の工場です
他の原石と一緒にコーコーの指導官なる人間にベルトコンベアに乗せられました
わたしと同じベルトコンベアに乗せられた原石は
少し早く出荷された歯車を「見習うのだ」と言って
喜んで削られにいきました
そのうちその個性的な輝きが
全部やすりで削られてしまい
潤滑油がべったりの歯車になりましょう
わたしはこのベルトコンベアに乗れば
研磨されて輝けると思っていましたが
浅はかでした
わたしは自分の硬度を高めようとしてきましたから
やすりの圧力に耐えているつもりでいますが
傷が増えているのを見るたびに
抵抗を諦めてしまいたくなります
ですがわたしは歯車になどなりたくないのです
人間でいたいのです
しかしコーコーの指導官はわたしたちをダイガクへ出荷し
よく回る良質な歯車にしようと企んでいるのですから
このまま出荷されてしまえば
人間でいる道は断たれてしまうのです
わたしはここからの離脱を計画し実行しているのですが
失敗してしまえばそいつらに「矯正」と称されて
彼らよりももっと小さな歯車に仕立て上げられてしまうでしょう
なので
わたしのこの身がどうなろうと
あなたには人間でいてほしいのです
あなたは自分のことを
完全に歯車と化してしまったと思っているでしょうが
わたしには削られることのなかった
あなただけの輝きが見えます
あなたには輝きを取り戻せるだけの力があるのです
あなたには人間でいるだけの価値があるのです
どうか人間になってください
人間になってください
わたしの大好きな人へ