いちばんの親友が
今日彼を失いました…
理由はすれ違い。
お互い大好きなのに
ただ好きという気持ちだけ
ではダメな事もある…
私たちは何かある度
地元の海を眺めながら
堤防に座って
いろいろ語り合います。
その海はきれいな海で
日が照っていれば
ダイヤのように輝き、
夜は静かに波が
いったりきたりで
見ていると心が落ち着き
何でも打ち明けれます。
今日も夕日が沈みそうな
海をそんな彼女と
2人並んで見ていました。
2人黙ってただ、
波の音を聞くだけ。
長年一緒にいる
親友だからこそ
話さなくても何を思って
いるかなんて分かります。
少し経って
煙草を吸い始めた彼女が
煙を吐き出しながら
『あたし、
煙草止めるわ……。』
と呟きました。
『なんで?』
と私が聞くと
『この煙草の匂い、
あたしの中ではあいつの
匂いになってるから…。
一緒に居れない時とか
不安になった時は
この煙草吸ってさ、
あいつ思い出して
安心してたんだよ。
そこに居るみたいで…。
だからあいつと
同じ煙草にしたけど…
もう吸えない……。』
そう言って
最後の1本を吸いながら
彼女はずっと海を
見ていました。
くわえ煙草から出る煙。
金色に光るサラサラの髪。
男顔負けに心強く、決して
弱音を吐かない彼女が
『あたしは大丈夫。』
と言いながら
震える小さな背中を見て
私はただ黙って
背中をさする事しか
出来ませんでした。
でも、そんな事で良い。
真っ赤な夕日が当たって
キラキラと光り落ちる
彼女の一粒の涙は、
私にはとてもきれいな
涙に見えました…。