演劇が好きだった。
元々「自分」が好きじゃなくて。自分じゃない「誰か」になれるお芝居と出会ってやっと生きてると思えた。
私はとある養成所に通い始めた。
大きなとこではないけど、レッスンは充実してるし各講座の先生もいい人ばっかりだった。
そこでは公演もある。
劇場借りてそこに立つんだ。
楽しみで仕方なかった。
皆で誰がどの役になるか予想しながら稽古を楽しみにしてた。
正直、指導はしんどかった。
ミスしたら怒鳴られるし殴られるんだ。
殴られないようにやってても、集中できなくて別なミスでまた殴られる。
木刀が飛んできたこともあったっけ。
罰金みたいなのを払わされた子もいたっけ。
本番が近づくにつれて同期たちの顔から表情が無くなっていくんだ。
あとね、演出の人が気に入った子には介護というか、自分の下の世話させようとするの。
気持ち悪い。
でもその人曰く、この業界にセクハラなんてないんだって。
どうなんだろうね。
普段から気に入らない生徒には稽古中「お前は頭の病気だ」とか色々怒鳴ったり追い出したりしてたな。
おめーの方が病気なんじゃないの?とか心の中で悪態ついてた笑
冬のある日、レッスン終わって事務所の扉を開くと怒鳴り声とピリピリした空気。
またあの人が事務さんや先輩に怒鳴ってる。
帰ろうとしたら寒空の下には備品の修理をさせられる先輩の姿。
なんかもう疲れちゃった。
我ながら甘ちゃんだなと嫌になるけど。
怒鳴られたり殴られたり、皆が笑えなくなって、いなくなってくのも
機嫌で左右されるのも
耐えなきゃいけないのも
もう疲れたよ。
演劇が好きだったはずなのに
あの日々を思い出すと、
皆の顔が暗く沈んでく様子を思い出すと、
もう嫌だって思ってしまう。
上手く文章にできたかわからないけど、読んでくれてありがとう。