また小瓶を流させて下さい。
妻との離婚話が出て数年が経った。
数年前、ここで小瓶を流した。
妻の不倫で離婚する事になったと。
この数年間、色々な事があった。
離婚話が出たすぐ後、
妻が当時の勤務先を退職する際にトラブルを起こし、
弁護士が出てくるような問題に発展。
妻の不倫相手は逃げた。
初めは相談に乗って助言をしていたようだが、
自分に火の粉が降りかかりそうになると
途端に逃げ出した。
ある夜、妻から泣きながら言われた。
「助けて欲しい」と。
その涙を見て
僕はただこの人を助けたいと思った。
たとえ自分に火の粉が降りかかろうとも。
僕は即座に妻に告げた。
「俺が話をつけるから安心しなさい。大丈夫だから。」
夫婦関係が壊れたとはいえ、
一度は心から愛した女性が泣いて苦しんでいる姿を見ていられなかった。
自分の心を抉られるよりも耐え難かった。
話し合いは幾度も難航したが、
最終的には社長さんとも直接話をし、円満に解決する事が出来た。
全てが解決した事を伝えた時
妻に言われた。
彼氏(不倫相手)も友人も
「こうした方が良い」
「こういう話をした方が良い」
「こういう法律がある」など
皆、安全圏の壁の外から言葉を投げてくるだけで
誰一人として私の隣に立って助けてくれる人はいなかった。
貴方はその壁を乗り越えて、私の前に立って守ってくれた。
本当にありがとう。と。
しかし
その安堵の顔にどこか陰が出ていた事を
僕は気付いていた。
信じていたであろう不倫相手の裏切りや
その会社での出来事が堪えたのだろうか
妻は酷い鬱が発症し、半年程ベッドから出て来れないような状況となった。
何かをしようとすると涙が止まらなくなるのだと。
半年程経った頃、妻は新たな仕事を始めた。
しかし
鬱は治る事は無く
仕事で何かあったり何か言われたりする度に鬱が発症
ベッドから起き上がれない状態となり、
入社→数ヶ月で鬱発症→退職を繰り返す状態となった。
僕は隣で支え続けた。
「ゆっくりでいい。休んでもいい。昔みたいにできなくてもいい。今、自分ができる事をできる範囲でやればいい。何か怖い事があっても必ず守るから。君が1人でも歩いていけるようになるその日まで。」
それから数年が経った。
今は在宅の仕事を見つけて
何とか仕事を続けていけるであろう状態へと漕ぎつけた。
僕が居なくなっても
妻が一人で生きていけるように
妻の歩く道に光が差すように
力を尽くして来た。
そして昨日。
その時が訪れた。
妻は僕に言った。
「もう大丈夫。1人で歩いていける」と。
「実家に戻り、在宅の仕事を続けながら今後を考えていく」と。
「貴方を足止めしてしまったけれど
貴方と生きた十数年はとても安心で幸せだった。」と。
僕は妻に言った。
「分かった。君が1人で歩き出す事を俺は止めない。
だけども、
この先でもし困窮するような事があれば俺に連絡をしてね。
その時は必ず助けにいくから」と。
これで僕達夫婦の物語はおしまい。
これからは別々の道を歩く事になる。
正直、とても寂しい。
今だって眠れやしない。
今迄の思い出がたくさんたくさん浮かび上がってきて。
楽しかったこと。辛かったこと。大変だったこと。
それら全てが宝石の様に輝いて、
僕の心に突き刺さっている。
でも
もう戻れない。
あの時の2人に。
今、1人でベッドの上で
涙が止まらない。
離婚話が出た数年前に心の整理を付けた筈なのにな。
どうしてこうなったのだろう。
どうして添い遂げる事ができなかったのだろう。
結婚初日
僕が君に言った言葉
「この先で何があっても必ず守るから」
僕は最後に約束を守れただろうか。
愛した人よ
どうか幸せに。
君の歩く道に
いつの日にも光がありますように。
君の幸せを願って
僕は明日を生きていく
お返事がもらえると小瓶主さんはとてもうれしいと思います
すごくやさしい言葉をかけてあげてほしいです