海外の学校から日本の高校に転入して三ヶ月が経った。
それだけ時間が経とうと、私はまだ女々しく前の学校に戻りたいと思っている。
クラス替えがないクラスだったのもあって、最初の一、二ヶ月は馴染めなくてめちゃくちゃ余所者感が否めなかったけど、ある程度喋れるクラスメイトとか、お昼ご飯を一緒に食べてくれる友達もできて、一応なんとか高校生活こなしてます、って感じ。
中間テストもこないだあったけど、結果はまぁ嘆くほどではないかなと思えるくらい。もうちょっと向上したいところだけど。
まずまずに生きていけてはいるけど、やっぱり今までと比べたらちょっと虚しい。
あんなに苦労したはずだったのに、英語でコミュニケーションを取るのが恋しいし、毎日のように追われてたレポートとかの課題がなくて、手元が寂しいからなんとなく先の宿題を先取りしてやってみたりする。
まだ前の学校に通っていたとして、今頃なら何やってるだろうか、レポートの期限に友達と嘆いてるかな、なんて叶いもしない妄想にふけたり。
カメラロールを眺める癖はいつまで経っても改善しなさそうで、日付を見てはあの頃は何も知らなくて幸せだったな、とか馬鹿みたいに同じことを思うのはそろそろ心に毒でしかないのでやめたいところ。
編入試験の勉強を前の学校の課題と並行して泣きながらやったけど、人間性があんまり合わないみたいで、そこまでして入る学校ではなかったなと転入二日目で思ってしまって、未だにそう思うのも虚しい。だったらあの日々はなんだったんだ。
とはいえ帰国して、高校に通ってもう三ヶ月も経って、なんなら帰国することを知ったのは今年の一月だから半年以上前のことで、例えば両親に「前の学校に戻りたいです」とか言ってみたところで何を今更、と言われるのは想定済みなわけで。
スクールカウンセラーを頼る手もあるかもしれないけど、転校生が前の学校に執着してますなんて聞いても解決の仕様がないし、(彼らにとって)時間の無駄だろうなって。
自分が異常だってわかってるなら、一人で抱えてくしかないよね。
理解してもらおうとするのは烏滸がましいし、してもらえるとは思えないから。
世の中にはこういう、望んでた道に行けない人なんて大勢いるわけで、そしたら私ばっかりこんな嘆いてるのはおかしいよね。
世の中のそういう人はどうして普通の顔して生きていけてるんだろう。
私なんて、一人で抱えるんだとか一丁前に言っておきながら、ふとした時に親の前でも、電車の中でも、教室の中でも泣き叫びたくなるのに。
当然そんなことできないから、普通の顔して生きてるけど、自分の中はぐっちゃぐちゃでどうしようもない感情がぐるぐるしてるよ。
そりゃ世の中の人も同じだって言われるだろうけど。
咄嗟に叫びたくなることもなく、周りみたいに普通に生きていける方法を頼むから誰か教えて。
マジで。
あんまり恋しいのにもう手が届かないから、あの日々はすごく都合が良い素敵な夢で、実は今が現実だったのではとか変なことを思ったりする。
例えば今私はすごく長い一時帰国をしているだけで、あと少しすればまた前の学校に戻れるんじゃないかみたいな。
逆に今が悪い夢で、覚めればまた普通に友達に会えるんじゃないかみたいな。
そんな馬鹿げたこと言ってないで、そろそろ現実を見ないといけないのはわかってるつもりなんだけどね。
現実を直視するぐらいなら、こんなに後悔するならば、こうなる前に死んで思考を奪ってしまえば良かったんじゃないかと、海外になんか行かなきゃ良かったんだと思う。
おかしいな、海外に行って変われたから私は少しだけ私を嫌いじゃなくなったのに、これじゃあ嫌いになるばっかりだ。
三年前の私の選択は、二年前の私の選択は間違ってなかったはずだった。
正しくもなかったかもしれないけど、少なくとも間違いだと思ったことは今まで一度もなかった。
どうしたら私はこんなに過去に執着せずに生きていけたかな。
なんとかこの後悔を払拭したくて、じゃあ海外の大学に行きたいなって思って。
でも私立に通う妹がいて、費用は尋常じゃなく高いから、そんなことも言えねぇなぁって。
なんとか、いろいろ妥協したら留学できそうな方法があって、親にちょっと話してみたけど、「生活環境悪いらしいよ」とか「治安あんま良くないらしいよ」とかなんとかで、あんまりよく思ってなさそう。
私のことを心配した上で言ってくれてるんだろうけど、なんとか後悔を消化しようと方法を探してる娘にそりゃあないぜ、と思ってみたり。
まぁそりゃ、私がそんなに泣くほど後悔してるなんて知らないからね、仕方ない。
とは言え帰国に文句の一つも言わず、金銭面も子どもなりに考慮して公立の学校を選んだ私としては、大学に関してはわがまま言わせてほしいな〜…みたいな。
でも、文句言わなかったのも、その高校を選んだのも私だから、そんなこと言う筋合いはないか。
諦めて日本の大学に行くとするかな。
今考えてるとこは一応少し安く留学できるみたいで、ワンチャンねぇかな〜と思いつつやっぱり両親はいい顔はしないね。そらそうだろうよ。
こんなに海外とか、海外の学校に執着するなんて、三年前には思わなかったよ。
こんなことなら冗談抜きで海外なんて行かなきゃよかったな、本当に。
日本で学力の無さに苦しんでた方がこんなに生き辛くはなかったんじゃないか。
だってさ、さっきも書いたけどさ、帰国してから三ヶ月経ってて、なんなら帰国を知ったのは今年の一月だってのに、毎日毎日帰りたいって思うのは普通じゃないよ。
おかしいよ。
話したってどうにもならないんだから、
これ以上叶いもしない将来を想像したってそんな未来は訪れないんだから、
泣き喚こうが叫ぼうがもう戻れないんだから、
誰のせいでもなかったんだから、
流石にそろそろ蹴りをつけたい。
そうじゃないと普通に生きていけない。
今だってやることなすこと全てに意味を見出せなくて、だって私こんなことしたかったわけじゃないって。
いい加減にしろよ、人生やりたくないことをやらなきゃいけない時だってあるに決まってんだろと思ってはいるんだけど。
理解するのと受け入れるのって別なのね。
思ってることとやってることちぐはぐで本当アホみてぇ。
手に入るはずだった夢が手元にないんなら、私生きてるのももう嫌だよ。
だってそれが生きる意味で、そのために死ぬほど努力したのに、一瞬でも手に入ったのに、不可抗力で失うとか、もうどうしようもないじゃん。
燃え尽き症候群って言うのかな、もう新しい夢を見つける気力すらない。
そもそも何かに本気になるのももう遠慮したい。
だってそうやって当時賭けれるもん賭けて、結局失ってるから。
またそんな思いをするなんて御免だね。いよいよ気を病むどころか死ぬだろうよ。
こうやって不貞腐れながら生きてんのも本当馬鹿らしい。
とっとと周りの人みたく普通に生きてくれ普通に。
どうせ生きていかなきゃいけないのには変わらないんだから。
不貞腐れてたって人生良い方には傾かないよ。
と思いつつ、うるせぇ誰にも言えないんだし一人で文句言うぐらい許されなきゃやってらんないよ、と思ったり。
どうしたらいいんだってばよ。
ともかく、こんな風にああ言えばこう言う、みたいな状況だから四六時中自己否定しまくり。
自分すら味方にはならないのか。どうしろと。
考えないように、って思うほど後悔ばっかり浮かぶもんだから、嫌でもそうやってたらればを語って、現実との乖離に一人で涙を堪えて、何がしたいんだろうなって感じ。
誰かに文句を言ったり、泣き喚くほど子供ではなかったけど、叶わない夢に執着せずに諦め切れるほど大人でもなかった。
どっこも悪くなんかねぇんだからさ、不貞腐れるのも大概にして、とっとと普通に生きれるようになりたいね。
お返事がもらえると小瓶主さんはとてもうれしいと思います
小瓶主さんの想いを優しく受け止めてあげてください