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小説「相乗り夜汽車は何処へ行く」星鏡編 第二項

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僕は母親が居ないんだ。
僕を産んだときに出血多量で死んじゃったんだって。
父親は母親を失ったショックで自暴自棄になって、僕に虐待とかしてたらしいよ。
他人事みたいって、そりゃそうでしょ。すごいちっちゃい頃の話だし。
だから施設に引き取られて育ったんだ。
でも、どうにも笑わないし、何だか他の子と違うって、施設の先生たちが心配してたんだよ。
それで病院に行ったら、虐待がトラウマになって「失感情症」とやらになっちゃったみたいなんだよね。
要は、感情がなくなっちゃったってこと。
暑いとか痛いとか、そういう客観性のある感情はわかるよ。
でも、痛いから怖いとか、もうそれに近づかないとか、そういうのが異常に少ないだけ。
施設の先生たちはそんな僕を放って置かなかった。
感情を覚えさせようとカードを作ったり、場面に合わせたリアクションを取れるようゲームをしたりね。
それでも僕は治らなかったから、中学生になったら先生たちも諦めたみたいでさ。
ただ、ある程度の受け答えはできるようになったし、完全に役に立たなかったわけでは無いよ。
でも、僕はそのままじゃいけなかったみたい。

「皆、来てくれてありがとうね。あの子も喜んでいると思うわ。」
今日は彼の葬式の日でした。
お焼香やら何やらを済ませた後、大きなオーブントースターのような機械に、彼を乗せた棺は入っていきました。
クラスメイトの女子達が、後ろの方にかたまって泣いていました。
(何が悲しくてそんなに泣くんだろうな。あの子達、いつも悪口言ってた気がするけど。)
優希は、泣くことで仲間意識を深めているんだと言いました。
「俺は彼奴のこと、そんな小道具にしてほしくないんだけどな。」
「へえ。じゃああの子達の涙は、優希のとは違うんだね。」
「うるせえ、この人でなし。」
優希も、感情を隠すために悪態をつくのが癖でした。
二人で外に抜け出して焼けるのを待っていると、上空に雲がぷかぷかと浮かんでいました。
「俺、彼奴のこと何にも分かってなかったんだろうな。……話してくれればよかったのに。」
また彼の目から、涙が溢れてきました。
「くそっ。俺達親友だっただろうがっ……。」
『俺達』ってそれは僕は入っているの、とはどうにも聞くことが出来ませんでした。

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