私は四人姉妹の三女なんです。
姉達や妹はとても優れていて、比べられることが多々あったものです。
優れた人が並んでいる様を「綺羅星」なんて呼んだりしますが、それが私以外の姉妹に相当するのでしょう。
私は六等星といったところでしょうかね。
そんな私も愛する人を見つけて結婚まで漕ぎ着けたわけです。
いえ、反論なんてされませんでしたよ。
両親とも私のことに興味がありませんでしたから。
妹が売れていない芸人と付き合い出した時は、父も母も止めていましたがね。
妹のためでも在るのでしょうが、自分たちの見栄を気にしたのでしょう。
あら、何の話でしたっけ。そうそう、夫の話です。
それなりに幸せな結婚生活を送っていましたし、子どもも授かりました。
でも、出産は本当に命がけでした。
いや、命さえ落としてしまった、が正しいでしょうか。
産む直前、二番目の姉が訪ねてきました。
「あんた、本当に産むの。」
「何言ってるの、由美姉さん。当たり前じゃないの。」
その私の返答を聞き、姉は溜息をつきました。
「子どもの成長具合とあんたの体からして、今生むと危ないって看護師さんにも言われたんでしょう。」
「分かっているわよ。でも、蒼介が育ててくれるって信じているの。」
「そうじゃないのよ。……本当に馬鹿だよね、あんた。」
私は姉の言うことがどうしても分かりませんでした。
その「分からなさ」こそが他の姉妹との差なのだろうと、どうにも切なくなりました。
姉は脇にあった紅茶をぐいっと飲み干すと、こちらを強い眼差しで見つめました。
「はっきり言うわ。私達は自分の命を取る。亜希姉も、瑠璃もね。」
由美姉さんは昔から強い人でしたが、いつもよりも強い語気でした。
「だからこそ、私達は器用なの。……一生、呪いのようにね。」
そう言い残すと、彼女は帰っていきました。
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