どうか宛先の無いあなたに僕の声が届きますように

去年の冬のある日の夜
君と同じ星を見ながら電話をした



その日から僕にとってオリオン座は特別になった

初めはどれがオリオン座かなんて
全然わからなかった、、
星なんて沢山有るし
適当に繋いだらどんな形だって出来ちゃいそうじゃんって



僕の白い息越しに見上げるオリオン座は
冬の間中ずっと空にあって
早いときは夕方には見えていた



オリオン座と一緒に見えたのは
僕と君とを繋ぐ「インターネット」って言う
科学技術の光の糸さ




一秒ごとに１人の人と会ったって
世界中の全員の人と会うのは
僕が生きてる内じゃ不可能らしいんだよ
人間でいられるのなんて短いと思ってしまう

じゃあ世界中の人と会うのを目標に生きてみようか





僕と君との時間を止めてくれているような
砂時計みたいな形をしたオリオン座

ちょっと冷たいと思われちゃうかな
１人のヒトと一秒ずつ会うくらいなら
そのぶん君との２人の時間にしたいな



もし君が許してくれるなら
２人で世界中の人全員と
一秒ずつ会って

最後は互いの顔を見ながら
僕と君とで誰かを繋ぐオリオン座になるのはどうかな





君がベテルギウスで
僕がペラトリクス
少しでも近く、だからリゲルは誰かに譲るんだ

だけどオリオンは一目惚れをしたアルテミスによって殺されてしまうんだ
それはアルテミスの双子の兄の騙しによって





うん、やっぱり今は２人で手を繋いでオリオン座を見上げよう


優柔不断な僕
２人のゆっくりとした時間がいつまでも続くように





愛しい君よ僕は君を笑顔にする為に生まれてきた


愛しい君よいつまでも僕の隣にいて欲しい


愛しい君よ僕は君の為なら何でも出来そうな気分さ





















愛しい君よ星になんてならないで




こんなどうしょうもないメールを
海に小瓶じゃなくて
僕は風船に結んで夜空へ放つけど
どうか宛先の無いあなたに
僕の声が届きますように

少しでも幸せになれますように





綺麗事なんていらないよ
ほら頑張りすぎて泥だらけになった顔で
無理やり笑ってよ
全部バカらしくなってくる





ペグ