将来の夢
幼稚園児の頃からずっと、何か夢を持てと言われてきた。
消防士、警察官、ミュージシャン、画家…
何か、大きな夢を持てと言われてきた。
でも、今は夢を持ったことを後悔している。
知らなかったんだ。
夢がこんなにも自分を苦しめるものだったなんて。
夢を叶える人間なんてのはほんの一握りで、多くの人間は誰にも知られず消えていくような世界。
叶えるまでに大量の血反吐を吐いて、潰れてしまいそうになる心を必死に支え続けなきゃいけない。
小説やアニメのようにはいかない。
私は主人公じゃない。
類い希なる才能もなければ、皆から愛されるような人望もない。
夢のことだけを考えて行動することはできない。
夢よりも、努力よりもまず明日の飯と性欲の発散方法を考える日々。
持っているだけで、焦りと、惨めさと、自殺願望が沸き起こる悪魔の思考。
大人になるには、一度持った夢を手放さなければならないのに、サッと手放すことはできない。
お前らが無理矢理持たせた夢なのに、今度は捨てろだの諦めろだの不可能だの。
ちゃんと責任持てよ。
私は、なんでこうなっちゃったんだろう。
もっと早くこの世界の残酷さと非情さに気づいていたら、もっと穏やかにすごせたのかな。
もしかしたら、もっと早い段階で生を捨てることができたのかな。
そんな未来に、なぜ向かえなかったのかな。
本当に笑える。
あー
夢なんか、持たなきゃよかった。