新卒1年目の半年をフリーターで棒に振って、11月にやっと正社員として就職できた。田舎の大きな病院の夜間救急受付。救急車の受付とか、カルテのスキャンとか、結構色々なことを手広くやらなければならなかった。
平日なら午後の5時から朝の8時半まで。途中に仮眠が4時間。
土日祝なら朝の8時半から翌朝の8時半。仮眠は平日と一緒。
ご飯休憩が30分しかなくても、家から徒歩と電車で片道2時間ぐらいかかっても、1か月頑張った。夜勤だし、労働時間が長いから給料は悪くなかった。どこにも受からなかった自分を雇ってくれた。我慢した。仕事ってそういうもんだって親もよく言うから。
無理だったけど。
自分の就職を理由に親と駅の近くに引っ越した。望んでなかった。就職の前から話進めてたくせに。おれをだしにして。友達とも会えなくなった。ばーちゃんにも会えない。仕事でもう昼になって疲れて帰ってきて、1日寝たらもう次の日仕事。引っ越してから部屋なんて片付ける暇なかった。段ボールに囲まれたベッドで寝るだけの部屋の完成。
夜間救急の受付は、夜間救急窓口に来た人の受付はもちろん、当直の先生のベッドメイキングとか、タクシーの手配とか、救急車の受付とか、駐車券の割引処理とか。本当にこれも自分らの管轄なの?ってこともやらなきゃ行けなくて、メモに急いで書くから読めないし。覚えられないし。日に日に清書する気力も無くなった。
決めては年末年始のシフト。自分は午前8時半から午後8時の日勤帯になってはいたけれど、31日から3日まで4連勤。仕事ってそういうものだ。家族が美味しいもの食べてておれが食べられなくて、夜遅く帰ってきてすぐ寝て朝早く起きて仕事に行かなきゃでもそういうものだ、仕事って。大好きな兄が帰省してて会えなくても、仕事ってそういうものだ。そういうものなんだ。生きる意味を持てなくなっても、生きるための義務なんだ。
そう思ったら、今まで忙しすぎて忘れてた、毎日見えないところで積もってた「死にたい」が止められなくて。目を逸らすこともできなくなった。頑張って止めてた自傷もまた始まった。仕事に行くために、仕方がなかった。
幸いにも仕事先の社員さんはみんな優しくて、辞めたいって相談しても「若いから、もっといいとこあるよ。がんばってね」って言葉をくれた。元々ハードだから、すぐ辞める人が結構多かったのもあると思う。
そんなこんなでニートに退化してしまったけれど、払うお金を払ったらもう手元に全然残らなくて。次の仕事を受けても落ちての生活に戻って。やっぱり自分には何にもできないんだなってことを再認識する日々だ。
親に彼氏ができた。マッチングアプリで知り合ったって。時々出かけて帰ってこなくて、クリスマスも大晦日もいなかった。自分はもう20歳だから、そういうことだって飲み込まなきゃいけない。だってもう学生じゃないんだ。子供じゃないんだから。
こんなに毎日10時間12時間寝ないと眠すぎて動けないのも、仕事が覚えられないのも、人並みになれないのも、すぐに死にたくなるのも、全部が全部病気のせいだったらどれだけ楽か。病気のせいにできた。
けどただの健常者だ。改めて別の医者に行くお金もない。何もする金がない。やっぱりただの落ちこぼれの使えないだけの人間以下だった。