どこかに行ってしまいたかった。
逃げ出したかった。
体が勝手に動いて、いつの間にか静かな浜辺にきていた。
まっさらな砂浜に腰をおろす。
すると、浜辺に小瓶がいくつも落ちていた。
拾ってみると、悩みが書いてあったり日記がかいてあったり。
小瓶を書いている人達は、年齢も違えば持ってる悩みも違う。だけど、どの小瓶にも優しさを感じたのはなんでかな?
浜辺をゆっくり歩いていると、同い年ぐらいの子に声をかけられた。
「おかえり」
誰かと間違っているのかな。 最初はそう思った。だから、
「ここに来るの初めてだよ?」
誤解を解いてあげた。そのつもりだった。
そしたら、
「うん、初めまして。
そしておかえりなさい」
波の音が、聞こえない
ただ、しょっぱい水が服に零れ落ちる。
僕、泣いてる、、?
嬉しかった?
この言葉じゃ表せない。
安心した?
それに近い。けどまだ遠い。 まぁいいや。もういいか。
その後は一回も話していない。
二人で海を見ていた。
静かに。言葉なんていらなかった。
またこの浜辺に来た。
そうだ、返事を書いてみよう。
じっと考えた。言葉を気持ちをのせてうまく伝えるということは難しい。こんなの自分自身が一番分かっているはず。
やっと、、書き終わった。
「僕の想いがあなたへ届きますように」
届くといいなあの小瓶。
あれ、前に会った子だ。
「ここの事少し分かった?」
分かった。
ここは、みんなの居場所。
どんな理由でここに来たのかは分からない。
言いたくなければ言わなくていいし、言ってもいい。なんでも受け止めるよ。
様々な小瓶が流れ着く浜辺。案外近くにあるのかもしれない。
もし、誰かに会ったら今度は僕が
「おかえり」
って言うよ。