ちゃんと伝えられたら良かったなって。
小学三年生、
色んなことに疲れちゃって、あの子が初めて助けを求めた。
あの子は当時、たくさんのものを抱えていた。
家庭にも、家にも、学校にも居場所がなかった。
「世界はもっと広いんだよ」なんて言う人もいるけど、そういうことじゃないんだよね。
学校をやめられるわけでもないし、大人になるのだって何年も先。
「大人になったら世界が広がるよ」だなんて、なんの励ましにもなってない。
あの時期、あの環境、あの時間があの子の心を切り刻んでいったんだから。
あの子が初めて助けを求めたとき、
それはもう…本当に不器用なSOSで。
笑いながら、精一杯軽く…小3なりに最大限の気をつかって、母親の機嫌を損ねないように…慎重に、慎重に発したSOS。
「お母さん、あたし…ちょっと、ちょっとだけ疲れちゃったから。明日、明日だけでいいから…学校休んでも…良い?なんて。あっ、あたし…疲れたっていっても、お母さんよりは疲れてないから。だから、学校休んでも…あたし、お手伝いとかするから、だから…」
あの子の言葉は、途中で遮られたんだって。
母親は忙しかった。
これからお仕事の電話があったそうで…あの子がそれを邪魔してしまった。
母親の手が真っ直ぐ伸びてきて、あの子は頭を庇ってしゃがみこんだ。
その後、
あの子は二度と、自分の気持ちを誰かに話すことはなかった。
強い子だった。
優しい子だった。
そんなあの子は、どんどん壊れていった。
吐いて吐いて、
フラフラになって倒れて、
朝日を見て狂って、
自分で首を絞めて、
傷だらけになって、
1人で家に取り残された休日は、10時間でも、11時間でも泣いていた。
私を見て。
私を認めて。
私を捨てないで。
私を愛して。
極限まで歪んだ後、あの子は力尽きた。
赤の他人に、私の代わりに生きてとバトンを渡した。
なんでもっと早く知れなかったんだろう。
どうしてもっと早くあの子を助けられなかったんだろう。
なんであの時期に、あの子と出会っちゃったのかな。
僕と出会ったときのあの子は…もうほとんど壊れていて、何もかもが手遅れだった。
ねぇ神様。
貴方に何かを期待するつもりはない。それでも、あまりにも酷すぎませんか。
苦しめるだけ苦しめといて、最後はあの子を守らなかった。
せめて、僕らがもっと早く出会ってたら…何かが変わったかもしれないじゃないですか。
どうせ出会えるんなら、もっと早く出会いたかったよ。
誰があの子をめちゃくちゃにしたんですか?
いじめっ子ですか?両親ですか?親戚ですか?担任ですか?それとも別の人ですか?
あの子が壊れちゃう前に出会えなかった僕ですか?
どうしてあの子が全部諦めなきゃいけなかったんですか?
あの子を苦しめた人が辛い思いすればいいじゃないですか。
あの子が感じた痛みの数倍くらいの規模のやつを、あいつらが一生背負い続けたらいいじゃないですか。
なんであの子が最後の最後まで苦しまなくちゃいけなかったんですか?
なんでずっと1人でいなきゃいけなかったんですか。
どうしてあの子の精一杯のSOSは、あんな残酷に砕かれてしまったんですか?
どうして届かない?
誰に届く?
あの子が生きてきたかけがえのない日々は、軌跡は、一体誰に届く?
あの子の鼓動を誰が聴いた?
あの子の命を誰が想った?
この小瓶如きが、僕如きが、あの子の傷を代弁できるとは思わない。
でも、今日はクリスマス。
あの子が祝福されたかった夜に、彼女の軌跡を書き留めておきたい。
忘れないように、透過してしまわないように。
ずっと頑張ってきた君へ。
メリークリスマス。
大丈夫だよ。安心して、ゆっくり眠ってごらん。
せめて今夜だけは、幸せいっぱいの夢に包まれますように。
お返事がもらえると小瓶主さんはとてもうれしいと思います
小瓶主さんの想いを優しく受け止めてあげてください
アユム
この世は残酷だ。
弱く純粋な者は容赦なく叩き潰され
ずる賢い者がのうのうと生きている。
真面目に生きている者は
ずる賢い者に騙され、時間を奪われ
弱く純粋な者を救うことすらできない。
力こそ正義というのなら
ずる賢い者は正義なのか?
めちゃくちゃにしたのは誰かって?
この世界そのものだよ。
君はバトンを引き継いだ。
引き継いだからには
彼女の思いを忘れてはならない。
そして同じ立場の人間に出会ったら
手を差し伸べてほしい。
甘やかす? いや、そうじゃない。
共に生きていく道を作っていくのだよ。
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小瓶主さんの想いを優しく受け止めてあげてください