誰も信じない心を忘れていた。
優しくされていたから、忘れていた。
この世に味方なんて存在しないんだった。
あいつも口先だけの人間だ。
好き、愛してる、それは本心ではない。
そう言うことで信用させるための罠だった。
あいつは周りを人間だと思っていない。私も含めて全員。
私を手元に置きたがるのは、顔とスタイルがぴったり好みだったから。他の男に取られるのは癪だから。
私が信用して良いのは、子どもの頃から一緒にいる熊のぬいぐるみだけ。あの子だけが寄り添ってくれる。
他は全員、私から搾取しようとするだけの人間に過ぎない。絶対に信用出来ない。
周りに敵しかいないのを再認識した今日、死んでおけば良かった。あの駅を通りすぎず、ホームに下りれば良かった。次は何も考えず死のう。搾取される人生は疲れた。