「あなたのことを1番よく知っているのは、誰ですか？」高校2年生になって倫理の授業を選択した。授業の合間に何やら哲学チックなことを考えるらしい。記念すべき最初のお題がこれだった

高校2年生になって、倫理の授業を選択した。毎回の授業の合間に、何やら哲学チックなことを考えるらしい。記念すべき最初のお題が、これだった。


結論から言うと、「私だ」というのが私の答え。わざわざ題を用意した先生には、もっと捻った答えをと言われそうだ。

ちなみに理由は単純。安直と言ってもいい。
「純度100％で『私』を捉えられるのは、私しかいないから」。

私以外の人間として私に関わることになった人は、多かれ少なかれ私について情報を得るわけだ。
「○月○日生まれ」「女性」「適当な性格」「推しは××君」「得意教科は英語、苦手教科は数学」etc…
プロフ帳に書くような内容なら、誰もに知るチャンスがある。でも、恐らくこの問いで聞かれている「知っている」とは、「それらの情報をどう解釈するか？」端的に言えば「こういう特徴のある人間であることが、結果として今現在どういう人生観を持つに至らしめたのか？」ということについてなんだと思う。そして、ただ単に言語化されたものが頭の中に入っていることではなくて、自身の実感として「ああ、これだ」と腑に落ちていることを指すのだと思う。

それって、自分自身にしか達せない領域じゃないか？

私は「私」として生を受けてから16年間、私の人生しか生きてこなくて、死ぬまで私で居続ける。
私は「私」の人生のフィルターを通してしか、物事を考えることが出来ない。逆に、私について私以外を含まずに考えることが出来るのは私だけだ。
私だけは、言語にならない部分まで纏めて私を理解する余地がある。他の人にはない。同じく、私には他の人を理解することは困難だ。

誰かが熱心に私の話を聞いてくれて、私が懸命に自分の考えを伝えようとしても、言語化はドット絵みたいなもの。突き詰めれば言葉で表せない領域が生まれる。しかも、私の元を離れた言葉たちが私の意図するままに伝わっている保証はどこにもない。相手は「相手」の人生しか生きてこなかった人間として、私の話を「相手なりに」理解するわけだから。

言語化できなくていい、ぼんやりとした思いでいいから、私を1番よく知っている人。それは私が永遠の1番手なんだと思う。1人中、1位。物心ついてから死ぬまでずっと。
決して完全な理解じゃなくても、ランキングに名を連ねるくらいは許していいのかもしれないが……。どっちみち「私」情報の供給は私からしかなされ得ないのだ。「私」を解釈するための要素は私からしか落ち得ない。私は「私」の運営・公式なんだから、やっぱり他人とは土俵の違う存在なのだろうと思う。

人間は言語化しないと物を伝えられない。つまり一生誰とも分かり合えない。だからこそ精神世界に自分のテリトリーを作り、「自分」を保って心の安寧を得ることができているのだと思う。


……どうやら私の中二病は、3年経っても治りきっていないようである。世間的に見ればまだ若いのが唯一の救いか。

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