彼が本当に死のうとして、僕らはやっと気持ちが同じになったのかもしれない。
人間は死ぬ最後の最後、もう後戻り出来なくなった時に、やっと本当の願いがわかる。
やり直したいって彼は言った。
どうしてやり直せないんだろうって。
なんでここに生まれたのだろうって。
死にたいけど生きたい。
死にたくて死ぬんじゃない、
もうそれしか残ってないのだ。
そのくらい追い詰められてしまった。
理不尽だね。
もっと一緒にいたかった。
遊びたかっね。
遊びに行きたかった。
どうしてこうなったんだろう。
あの子が何をしたんだろう。
ただ普通に行きたかっただけなのに。
みんながしている当たり前のように、
ただ生きたかっただけなのに。
友達と遊んで、美味しいものを食べて、
旅行に行って。
それがどうして許されない。
そんなちょっとの自由も与えられないの?
それなのにあいつはあの子を好きだと言った。
あの子は自分といることが幸せだと。
ならどうして、どうしてあの子はこんな風になったの?
あのクソ親父をどうしてどうにかしなかったの?
どうして、笑うことも泣くことも許してくれなかったの。
ほんとに、理不尽だ。
あの子が何をしたの?
生きたいことの何が悪い!
みんな、解決策も出さないで、
どうしたらどうしたら!!
ばっかりで。
あの子にいきろ!いきろ!
ばっかり言って、
あの子の気持ちを誰も分かろうとしなかった。
その結果がこれだ。
誰も変えず、気持ちを分からないで、生きろばかり言った結果だ。
あの子が死ぬことを責めることも、あの子の願いを責めることも、誰にもその権利はない。
だって誰もあの子を分かろうとしなかった。
あの子を助ける策を考えなかった。
なのに生きろだなんて、
そんなのは間違ってる。
辛いだけだ、苦しいだけだ。
誰もあの子を理解しなかった。
それが答えだ。
悪いのはあの子じゃない。
悪いのは周りだ、環境だ。
助けられなかった時点で、幸せを感じさせられなかった時点で、もう周りはダメだったんだよ。
生きるか、死ぬか。
それは結局僕らに止める権利は無いのだ。
それは彼の人生。
ただできるのは、僕にできるのは肯定して、
わかってあげることくらい。
生きるかはあの子次第。
僕が決めることじゃない。
あの子が後悔しない道を祈るばかりです。