小瓶主さんからのお返事
三つ目のななしさんへ。
初めまして。今日もお疲れ様です。
トランプ氏は今、安倍元総理の件もあり一部で株が上がっているとはいえ、実際の政策には声をあげたくもなるものがありますよね。
願う反面、それを叶えられないとわかっている現実は、いつも残酷ですね。願っているのに叶わないのか、叶わないから願っているのか。人間の脳はひどく非情な進化を遂げているようにも感じてしまいます。狼は空を飛べない人間が、翼に憧れて空を見上げた歴史が好きですが。
新しい命が自身の中に宿る感覚は、何事にも代えがたい特別なものでしょう。その方がどんな言い方で、どんな表情で、お話しなさったのかはわかりませんが、それを願うあなたには言い表せないほど妬ましくも感じたのでしょう。
けれどもし、そのことであなた自身の価値を決めてしまっているのであれば、どうか思いとどまってほしい。子を持つ感覚を、狼も知りません。だから狼の言葉はただの慰めにもならないかもしれないけれど。
欲しいと思っているものほど手に入らない、のではなく、手に入らないからこそずっとほしいと願ってしまうものです。「諦めろ」とか「そんなことで」なんて言うつもりはありません。ただ時々、一歩引いて考えてみてほしい。子を持てばすべてが満足か。この世はそれだけではないのです。あなたはあなたの生き方で生きてほしい。素直な気持ちで祝福しなければならないこともありません。だって実際羨ましいのですから。けれどその人にない別の幸せを、あなたは持っているはずなのです。
現代は子がいない親だけでなく、親を持てない子もいて、その子を引き取ることができる制度まであるそうですね。狼たちは群れの中で生まれた子供は、みんなで世話をするのが当たり前でした。現に狼も父と母だけでなく、兄にもよく構ってもらいました。一年ほど経つと、狼も次の子供の面倒を見たりもしました。血のつながりなど、些細なことです。
あなたがあなたの幸せを掴み取れますように。
またお話ししましょうね。