お母さんは私のことを嫌いなんだって小さい頃からずっと知ってた。
気が向いた時だけ頑張って口先だけでとってつけたように好きなフリをしてる。
そんな涙ぐましい努力をされるより、もういっそ開き直って一貫して嫌いって言われた方が良かった。
頑張って嘘をつかれればつかれるほど、「どんなにちゃんと愛そうとしてもどうしても嫌い」ってことしか伝わってこなかった。
お母さんは私を愛せない自分のことも嫌いだったんだろう。
そして私は物心ついた時から、愛されない自分が嫌いだった。
お母さんのことは大好きだったけど、今は嫌い。
私はきっと生まれつき人に嫌われる呪いがかかっている。
私は嫌われるから私じゃないフリをしなきゃいけないと、できるだけ自分から自分の気配を消すために、いつもいつも嘘をついた。
好きじゃないものを好きなフリをして、思ってないことを思ったフリをして、やりたくないことをやりたいフリをして、
人に出会うたびに、作り物の自己紹介を繰り返すたびに、
自分をナイフで滅多刺しにしているような気分だった。
ここまで書いた全部のことを言語化も自覚もできないまま二十数年間、無意識にやってきた。
人間的魅力がゼロだから聞こえのいい肩書きを手に入れようと必死になった。
お母さんは順位が上がった時だけ褒めてくれた。
少しでも人より器用にできることがあればそれを頑張って頑張って、手に入れても幸せにはなれなかった。
それが好きだからやってきたんだね。
それになりたいから目指したんだね。
それに時間をかけることが幸せなんだね。
そう思い込まれてそんな人のフリをして、また嘘ばかり増えた。
もう疲れた。
私は私が嫌いだ。
他の誰よりも私が嫌いだ。