私の育ての親は祖父母だ。
祖父は老人ホームと病院をたらい回しにされ、祖母はそんな祖父に嫌味を言いながら、それでも熱心に祖父の元へ足を運ぶ毎日。
小さくなった2人の背中を見て思う。
この2人がいなくなったら、私はこの世で生きていく意味がなくなるなぁと。
両親が離婚して、仕事や恋人で家を空けがちだった母に変わって、祖父母はずっと私のそばにいてくれたし、色々なところへ連れ出してくれた。
家にいたくない時も、何も聞かずに匿ってくれた。
この2人がいなくなったら、私に何が残る。
護りたいものなんてどこにある。
ならこの世にいたって時間の無駄だ。
結婚する気なんかさらさらない。母親の二の舞なんてゴメンだ。
私に借金を押し付けた兄ももうどうだっていい。金の切れ目は縁の切れ目とはよく言ったものだ。
でも弟だけは心配だ。
高校から遊びたいのを我慢して、お金を稼いで母と兄の借金返済の手伝いをしていた私を、お前は影からずっと見守ってくれていたね。
どうかお前は誰もが羨ましがるほど、幸せになってくれ。
そして沢山の友達も。感謝してもしきれない。
けど、弟も友達も、私をこの世に留められるほどの力はなくて。
それは人との距離を取りたがる自分が悪い。
だから私が消えても笑って忘れてください。