1,000万円。これが私の命の値段です。親に言われるがまま、必要性のわからない生命保険に入って2年経ちました。自殺であっても、保険金は払い出されます。妻と結婚して1年半。奪ってしまった時間の償いにはなるでしょうか。この1,000万円は、再婚までの生活に使ってほしいと思います。妻は美人です。私のせいで、人生を無駄にさせてしまったことには、後悔しかありません。私は、仕事ができませんでした。幼少期から、薄々は気づいていました。だから、それでもできる仕事を選んだつもりです。それでも、駄目でした。私が働ける場所など、およそ無かったということでしょう。なぜ、無能な人間を産み落としたのですか。なぜ、自分を客観視できる知能を与えたのですか。なぜ、人並みの夢を見させたのですか。私には命がある。あっても仕方のないものなのに、無くなればこれは価値になります。それしか方法がないのなら、生きていても不幸しか待っていないのなら、死ぬしかないではありませんか。
可能性の閉ざされた人間が、それでも何かに貢献しようと思うのであれば。私はそれを選びます。