じいちゃんへ。
あなたが亡くなって、
今日で10年経ちました。
あなたと最後に話をしたのは
亡くなる前日。
不思議と上着が暑苦しいくらい
よく晴れて暖かい日でした。
ずっと入院しているあなたが
年越しできるかと
大人達が心配しているのを
こっそりと聞いてしまっていた俺は
ばあちゃんと一緒に病室に入り浸りでした。
話をしている間は、生きていてくれるような
気がしたからです。
あなたの話の大半は、家族の話でした。
両親のこと。ばあちゃんを好きになった時のこと。結婚して父さんやおばさんが生まれ、やがて俺ら孫が生まれてからのこと。
成長するごとにどれだけ自分が嬉しかったか、あれこれ心配して気をもんだかを、
本当に愛しそうに話していました。
そのあなたが、最後に話してくれたこと。
もしも死ぬことになっても
自分は簡単には成仏できないだろう。
ばあちゃんやお前達のことが気になって
いつまでも側でうろうろしていると思う。
大事な人より先立つと、誰でもそうだと
思うんだ。この世はきっと、仏になる人より
幽霊のままの人の方が多い。
だから、もしじいちゃんが死んでも、
見えなくなっただけなんだから、
そんなに悲しくないよ。大丈夫だよ。
あの時、あなたは亡くなることを
知っていたのでしょうか。
俺は泣きそうになったけど、わかったと言って
笑いました。あれが最後でしたね。
今では、あなたを思い出すと
涙より笑いが出てきます。
ばあちゃんはボケもせず元気。
じいちゃんが元気でいさせてくれるんだと
言っていました。
やっぱり側にいるんでしょうか。
今度の法事の時、
あなたの好きな越乃寒梅を持っていきます。
亡くなった人に言うのは
不謹慎なのかもしれませんが、
あなたならいいよと言ってくれるでしょう。
これからもよろしくお願いします。
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ステキなお話ありがとうございます。
うちは、じぃさまが死んだ時はかなりボケてしまっていたので過去の話はできませんでした。
でも、ちゃんと孫である私の顔は覚えていてくれたんです。入院してから何ヶ月も会いに行きました。
亡くなる2日前、会いに行った時じいちゃんはいいました。
その指輪いいなぁ。って
幸せか?って
うん、すごく幸せだよ。
そっか。今俺は釣りに来てるんだ。お前と。
って
何回も話変わるんだけど
また、指輪いいなぁって戻るんだ。
でも、またくるねっていったら
うん、って言って
目だけの合図。
もう会えないとわかっていたけど
また、私はこのおじいちゃんの孫で生まれたいって思った。
幸せだったから
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