お庭のお手入れをしていたら、シルバーカーを押しながら、おとなりのおばちゃんが戻って来た。
私が7歳の時から知り合いのおばちゃんなので、つい子ども返りしてしまう。
しばし世間話。
お向かいのもう一人のおばちゃんが、とうとう施設に入ったとか。
この間の地震、怖かったねとか。
「お母さん、元気かい」
と言うので、
「おかげさまで、いつ会ってもご機嫌ですよ」
と答える。
10分くらいお喋りして、家に戻る前に、おばちゃんが言った。
「ありがとね。お話してくれて、ありがとね」
「…………いえ、こちらこそ」
そうでした。
誰かがお話してくれるというのは、当たり前のことではなかったですね。
もはや、私が自分の子だということが分からず、会っても殆ど発話のない母を見ているので、しみじみそう思った。
大切なことを思い出させてくれて、ありがとね、おばちゃん。
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