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100%の女

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要介護5になったことで、特養暮らしを始めた母。
3か月に一度の受診時、病院の付き添いは、私が担当している。
その時、施設の看護師さんが、母の日々の「経過記録」を印刷して持って来て下さる。
「経過記録」の中には、食事の摂取状況に関する記録もある。
そこを確認して、朝昼晩、主食・副食、全てのマスが「100」で埋まっているのを見ると、涙が出てくる。

4年前の圧迫骨折に始まり、その後、脳梗塞、大腿骨頸部骨折で入退院を繰り返した日々。
入院の度に認知症の進行が加速するのと並行して、食べる量がどんどん減って行った。
2年前の夏、最後の入院は、自宅での食事拒否が理由だった。
入院すれば、ひとまず点滴という最終手段が使える。
実際、入院して当分の間は、毎日点滴して、平均20%程度の食事摂取で、なんとか凌いだ。
その間、私は頻々と病院に通い、栄養強化型のゼリーやプリンを届ける。
病院側は、唯一、母が喜んで口にするメイバランスに活路を見出し、これを毎日3本飲ませて、何とか命をつないだ。

この状況は、退院するときまで大して改善しなかった。
特養に移ってからも、点滴が外れただけで、食の細さは変わらず。
私の栄養強化食品の差し入れミッションも変わらず。
施設にメイバランスの買い置きが無かったため、その調達が追加になっただけだ。

食が細いと、そこから様々な健康リスクが派生してくる。
・栄養不良→抵抗力が落ちる→感染症リスク
・咀嚼、飲み込みに使う筋力の低下→嚥下機能低下→口から食べられなくなるリスク
・エネルギー不足→体を動かさなくなる→骨に負荷がかからなくなる→骨粗鬆悪化→更なる骨折リスク
などなど。

重い気持ちで日々を過ごし、2週間が過ぎたころ、施設のケアマネさんから電話が来た。
「お母様の食事の件ですが、60%くらいまで改善しましたよ」
「!?」
一体何が起こったのか、ムラはあるものの、以前よりはずっとよく食べるようになったという。
例えば、朝食の副食は100%で主食は30%。
昼食の主食は20%だが、副食は80%…という具合。
総じて、主食より副食の摂取率の方が高いという報告だった。

それからさらに2週間ほど経過して、また電話が来た。
「今、平均80%くらいですね」
「!?」
一体どういうことなのだろう。
家でも病院でも駄目だったのに、施設は何がそんなに違うの?
「よっぽど栄養士さんと相性がいいんでしょうか。それとも、スタッフの皆さんが乗せ上手なのか…」
「うーん。落ち着いたんじゃないですかねぇ」
「……」

それから1カ月ほど経ち、退院後の最初の定期受診日。
病院で、施設の方+母と待ち合わせをして、初めて「経過記録」の写しをもらったとき。
食事の摂取状況は、すべて「100」となっていた。

耳の遠い母に、私は大きな声で話しかけた。
「お母さん、お母さん」
「ン?」
「毎日、ご飯、おいしいかい」
「うん!!!」
母は、喜色満面で、強く頷いた。

こうして、母は、100%の女に返り咲きした。
現役時代、管理栄養士だった母は、私が知る限り、食事を残したことは一度もなかったから。
いよいよお迎えとなれば、また何も食べられなくなるだろうけれど、それは仕方がない。
それまでの間は、あの人らしく100%の女でいて欲しいと思う。

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