元カレが、大好きでした。
初めて付き合った日。
ベッドの上から偉そうに告白されて
それでもやっぱり嬉しくて。
ゆっくり頷くと分かりやすく声をあげて喜んでた。
寒くてストーブの前から動かない私の隣に来て
無言で手を差し出された。
恐々と置いたそれは、確かにぎゅっと握られた。
帰る時間。
極度の方向音痴で自分の家に帰れない私の隣に
黙ってきたかと思うと追い越して自転車の準備。
「乗って」
そう言ってくれたけど、恥ずかしくて断っちゃった。
「じゃあ走れよ」
笑いながらそう言って自転車を出発させた
彼だけど、何だかんだでスピード落としてくれて。
ろくに会話も出来ないまま家について
寂しい気持ちを残したままお別れ。
おやすみ、と一言言ってから再び自転車に跨がり、振り返らずに手を振った彼。
幸せで、夢みたいで
その日はなかなか眠れなかった。
付き合ってから何日か経ったある日
彼が他の子に優しくしてるのを見た。
優しいのは、彼のいいところ。
私の好きなところ。
でも、嫌だった。
そんなとき彼から電話があって。
「おう」
って言うから、いつも通り
「おう!笑」
って返したのに。
ほんっとにいつも通りだったのに。
「どーしたん?」
少しの変化に気付いてくれた。
それから毎日電話をして、幸せな日々を送ってた。
でも、ある日電話がなくて。
忙しいのかな?って、とくに深くは考えなかった。
けど、それから二週間連絡なくて
不安になったし、声も聞きたくて電話をかけた。
「二週間も連絡ないとか珍しいなあ」
って、普通に。
そしたら
「忘れてた」
…。
嘘でも、忙しかったとか言ってほしかったかな笑
それからだった。
電話は激減。
話すこともなくなり、前みたいにじゃれあわなくもなったのは。
そのまま私はケータイを変えて番号は言ってない。
で、今に至る。
相変わらず喋んないけど
別れ話はしてない。
まぁこれは、自然消滅ってやつなんだろうなあ。
消滅したくせに、しつこく夢に出てきては
私といちゃつくからムカついて仕方がない笑
夢の中では、彼にドキドキしっぱなし。
まるで二年前のあの日のよう。
ベッドの上から偉そうに告白された、あの日。