電車に乗っている時に他の乗客を眺めるともなく眺めて、勝手にその人の暮らしぶりや、この後の行動を想像するのが好き。

電車に乗っている時に
他の乗客を眺めるともなく眺めて
勝手にその人の暮らしぶりや
この後の行動を想像するのが好き。

今日みたいな晴れた日の夕方、
空はまだ青いのに太陽光や空気が
金色めいて見えるこんな時間帯は、
電車の中に差し込む西陽が強くて
窓枠や手すりの金属が光を反射して
キラキラしてエモいから
想像力もよく働く。

幼い子を運転席すぐ後ろの席に
座らせて線路を眺めさせている
若い父親は、電車を降りたら
その子と帰りにスーパーに
寄るだろう。そして子に菓子を買い
先に家に居る妻に頼まれた
牛乳や野菜を買って帰る。
住んでいるのは公園が近くにある
分譲マンションで、
帰ったらもう一人の幼い子供が
テレビでYouTubeを見ていて
彼の妻が夕飯の支度を始めている。
そんな事を想像してみる。

また、こんな想像もする。

街を歩いていると、旅行客が
写真を撮っていたりする。
私はカメラと被写体の間に
入らないようにそばを通り抜ける
けれど、写真の端に
写り込んでいないとは限らない。
そんな事を考えると、私は
今までの人生で
一体何人の、何カ国の人の
思い出の写真やホームビデオに
モブのエキストラとして
ちゃっかり入り込んでるんだろう
なんて考えるとちょっと面白い。

また、こういう想像もする。

外で子供を見かけたりすると、
この子が20年後に大人になって
タクシーの運転手にでも
なったとして、今より老いた自分が
この子の運転する車を呼び止めて
乗る事があるかもしれない。将来
何かの形で出会い関わる事になる
彼・彼女の幼少期の姿を今
私は見ているのかも知れない
と考えたりする。

こんな想像もする。

高齢の老夫婦をみかけると、
この夫婦の子供は遠い他県にいて、
コロナもあって何年も対面で
会えていないかも知れない。
私は今この老夫婦を生で間近に
見る事ができて生の声を聞く事が
できている。私がいま、
この夫婦の子供と入れ替われたら
きっと素敵だろうな、私は今
こんなに彼らの近くにいるんだから
なんて考える。

すごく変な癖、趣味だろうな。
気持ち悪がられるかもな。

でも、そうやって
他人の生活や人生をリアルに
事細かに想像してみることは
他人を思い遣ったり
尊重する気持ちを持つ
上では結構役立つと思ってる。

みんなに血の通った
人生と生活があって、
今は同じ空間に居合わせただけで
会釈もしないし口も聞かないけれど
どこかのタイミングでは
深く関わることになるのかも
知れない。他人は自分の人生に
無関係じゃないし、自分も
他人の人生に無関係じゃない。

運命の人と出会う、
なんて言い方あるけど
実はもうとっくにどこかで
出逢ってるかも知れない。
そう考えると
気を引き締めたくなる。

友達には愛想良くするけど
赤の他人には愛想良くする
必要はないって
考えたっていいけれど、
私は皆んなどこかでとっくに
旧知の知り合いなんじゃないか
って思う。

今日乗った電車の、向かいの席に
座っていた女の子が将来
私の勤める会社に就職して
同僚になるかも知れない。
隣に座っていたおじさんが
私が今年の冬に心を病んで
駆け込んだ先の心療内科の
お医者さんだったりするかも
知れない。

自分の人生のキーパーソンと
実はもうどこかでそうとは知らずに
出逢ってて、ひとことふたこと
言葉を交わした事すらあるのかも
知れない。後から、
あー！あの時の君かー!
なんて答え合わせがなくたって、
そんな事が沢山起きているのかも。

毎日毎日
縁はあちこちでしらぬ間に
結ばれてはちぎれ、
結ばれてはちぎれ、
を繰り返してるのかも
知れないなぁと思ったりする。

そんな想像をするのが好き。