産まれた時から、母親は知的障がい者のきょうだいに付きっきりだった。
幼い頃の写真もビデオも昔話も、きょうだいの話ばかり。「あんたのこと?よく覚えてないねぇ」と言われた。
外出時、母親は一度も私と手を繋いでくれなかった。片手は鞄、片手はきょうだいの手で埋まっていて、私はずっと俯いたまま必死に家族の後を追いかけた。
髪の毛の結び方とか、他にも色々おかあさんに教えてほしかった。「お前は一人で何でもできるでしょ」って、初めてのことなんてわからない。出来やしない。泣きながらグチャグチャに作り上げた。
大人になると「お前は自由だからいいよね」と言われ続け、終いには「●●(きょうだい)はね、あんたに代わって悪い部分を全部持ってってくれたんだよ。感謝しなきゃ」と言われた。
遊びに来た友達の前で、奇行に走るきょうだいが恥ずかしかった。
幼い頃も大人になってからも「●●ちゃん(きょうだい)の妹よね?」と言われるのが嫌だった。私には名前があるのに。
外出先で障がい者が指さされているのを見る度、自分のことでもないのに汗がどっと出た。
「普通の家族」が心底羨ましい。
愛されたかった。「私」を見てほしかった。
でも、私は私が嫌いだ。だから見てほしくない。
………………………………………………………………………………
支離滅裂かもしれない。ごめんなさい。
誰かに聞いてほしくて、聞いてほしくない小瓶でした。