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彼女と最初に出会ったのはいつの事だろう。
ある日突然真っ白な夢の世界に現れた美しい少女、記憶の中の彼女はいつだって泣いていた。
夢の中でだけ会える、今の私よりいくつか年上であろう彼女、ときどき見せる笑顔は幾分か幼く思える。出会った頃から成長していない彼女はいつまでも美しいままだ。
初めて出会った時、彼女は感情の抜け落ちた瞳でこちらを見ていた。
正確には思い出せないが当時の私は今よりずっと幼くて、彼女とは大分歳が離れていたと思う。そして私と目が合った瞬間、彼女は突然涙を零し始めた。
「皆に会いたい」
「兄さん達がどこにもいない」
本当に幼かったあのころ、私には泣いている彼女になんと声をかければいいかもわからず、ただただ隣に座っているだけだった。
そうするといつの間にか目が覚め、現実世界に戻っているのだ。
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そんな事が何年も続き、やっと彼女の話が理解出来るようになってきた時、彼女は言った。
「彼らのいない世界で、どうして私だけ生きているの」
「彼らに会えないなら存在する意味なんてない」
そこでやっと気づいた。彼女は兄達に依存していたのだ、依存対象がいなくなった今、彼女はそのうち消えてしまうかもしれない。
今まで運良く消えなかっただけで、いつ消えるかわからないような不安定な存在。それは今日かもしれないし明日かもしれない、はたまた私が死ぬまでずっと私の夢の中に存在し続けるかもしれない。
なぜだか、彼女ともう会えなくなってしまうのは惜しいと思った。
それから私はその夢の中で彼女にひたすらに話しかけた。そうしているうちにだんだんと彼女は私と会話してくれるようになった。
好んで話すのは思い出話ばかりで、正直よく分からないことばかりだったが、彼女の話を聞くのは何年経っても飽きなかった。
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すっかり定位置となった彼女の隣に座り込む。この日は話したい事があり、声をかけようとして気づく。
私は彼女の名前を知らない。そもそも夢の中の存在というあやふやなモノに名前があるかはわからなかったが、気づいてしまっては知らなければいけないような気になる。
もし無いなら2人で考えればいい、とりあえず兄達の名前はたまに口にするので名前という概念はあるだろう。
「❖」
聞いてしまえば彼女はあっさり答えてくれた。だが驚いた、自分の発想力のなさに驚いた。
夢は自分の深層心理だと言う。いくらなんでも安直過ぎやしないか自分、それでいいのか。
言葉に詰まっていると彼女が文句を言いたそうにこちらを見つめている。まあいい、どうせ誰にも明かすことの無い夢物語なのだから、自分と彼女が楽しいなら良しとしよう。
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話すことは無いと書いてますが、なんか勿体なかったので晒します。昔からずっと見る女の子の夢です、所詮夢日記。暇潰しだと思っていただければ。