就活において、第一印象は悪いけど時間をかけて周りと深い関係を作るような私みたいな人間は要らないのでしょうか。
いざ働かせてみたら使えなかった、雇ってすぐ辞めてしまったというような話を聞いたことがあるのですが、人の本質を見抜けると豪語している面接官は何を見ていたのでしょうか。
どうせ落とすのに、面接の最中は笑顔で明るい雰囲気を作り、終わるときも笑顔だった面接官はなぜそんな嘘を演じる必要があるのでしょうか。
これらのような当たり前に存在している建前についていちいち疑問に感じてケチをつけている私のような人間は社会で働いてはいけないのでしょうか。
今の社会は正直者が馬鹿を見るような感じがしてうんざりしています。弱者の愚痴なのは分かっていますが、どうも納得できません。
第一印象が悪いのがなぜ不利かというと、社会はあなたの内面には「基本的に」興味を持たないからです。
この社会とはお客様や取引先、会社の先輩などのことですね。
アパレル関係なんかわかりやすいですね。お客様がショップに入った時にいらっしゃいませすら明るく言えない店員は、それだけで店の印象を下げるものです。
そんな時に「あの人すごい無愛想だけど、本当はきっと優しいんだろうな」なんて、お客様は思ってくれませんよね。
「何あの態度」「感じ悪ッ!」となり、「店員の教育ちゃんとしてんの?」と店や会社全体の評価まで落ちます。そしてSNSで愚痴られたら、売り上げにまで影響します。
基本、周りの見る目ってそういうものです。
お客様や取引先、先輩らが、こちらの内面を見ようとしてくれるのは、あくまで「この人はいい印象の人だな。信頼出来そう」と思ってくれてから、です。
「好きになれそう」と思ってから、初めて内面に関心を持ってくれます。
「いざ働かせてみたら使えなかった」というのは、確かにままあります。
しかし、だからといって第一印象で判断するなとはならない。
むしろ「印象が良い人さえ使えないことがあるのなら、印象が悪い人であれば尚更不安だ」と思われるのが自然な流れではないですか?
急な人手不足でバイトや派遣をとりあえず集めることはありますが、正社員ではなかなか博打なので「試しに採用」はあんまりやりません。やるとしたら特殊な技能やキャリアがある人でしょう。
そこで就活生が、「私は時間をかけて絆を作れる。第一印象の悪さは入社してから挽回するから、私に先行投資しろ」などと求めるのは、いささか筋違いだということです。
自分に置き換えて考えてみたらわかるんじゃないでしょうか。もしあなた自身が投資家だったら、見て不安になるものに貴重な資金はかけられないでしょう?これはいけると、多少なりとも思えるものにお金を出すはず。その「いける」と思わせるものが、就活にとっては第一印象なのです。
また、面接官が笑顔で明るく接するのは当たり前です。社員でない以上、就活生は会社にとっては他人です。お客様候補でもあります。
例え早々に採用しないと決めたとしても、他人にあからさまに態度を悪くする人はいないでしょう。会ったばかりの人にそれは失礼なことですよね?
社員採用は、企業にとっては投資です。
新人教育には手間がかかります。会社はまともに使えない新人(侮蔑でなく事実)に給料を出します。先輩は自分の仕事の合間をぬって教え、営業先に紹介し、ミスしたら一緒に頭を下げます。「入社から2年は会社と先輩に食べさせてもらっている(給料にみあう成果が出せない人が多い)」という言葉すらあります。
この人にはそういう手間をかけてあげたい、と会社に思わせるのは大事ですよ。
あなたのことはあなたにしかわかりません。
「関係を築ける」というのが本当か否かも、相手にはわかりません。ぶっちゃけ、どんな社員がいるかわからない以上、本当に深い関係が築けるかはあなたにもわからないですよね?
だからやみくもに「本当なの!何で信じないのよ!」と要求するのは違いますよ。どうしたら信じてもらえるか、誠意が伝わるか。
ほら、印象を良くするのが有効だと思いませんか?
あなたが自分の第一印象が悪いと感じる原因はなんでしょう?
ルックス?話下手?声のトーン?
ルックスはまったく関係ないとは言いません。女性なら「メイクがちぐはぐ、髪に艶がない、極端に太りすぎ痩せすぎ」は老けて見えるから避けた方がいい。顔が美形でないなら愛嬌大事です。自分がブスだと自信がない人はほぼ顔が固まっているものです。表情を柔らかくするなら誰でも出来ます。
話下手に関しては、就活生が緊張するのは企業側もよーくわかっているので、多少言い回しがぎこちなかったり、わたわたしたくらいで悪い印象にはなりません。声は基本いつものトーンでいいですよ。明るくしようと無理にキー上げると裏返ります。顔が明るければ自然に声も明るくなるから表情優先で。
「第一印象悪いけど」なんて卑下しちゃダメですよ。そういう諦めている雰囲気は伝わりますからね。「正直者が馬鹿を見る」があるとしたら、その理由は、こういうマイナスオーラまでも正直に出してしまうことじゃないでしょうか。見せるべきものと見せなくていいものの区別はつけましょう。
最後に。
「当たり前に存在している建前にケチをつけ…」とありますが、就活においてのこれらは「建前」ではないです。実績がある一種の「マニュアル」です。だからこそ脈々と受け継がれている。
悪い所がわからないまま、途方にくれる人はたくさんいます。あなたはわかっている分、改善もしやすいはずです。
愚痴ってスッキリしたら、自分の印象や意識、態度をもう一度見直してみて下さいね。