久しぶりに明晰夢を見た。
明晰夢とは夢の中で夢を見ていると自覚している夢のこと。
自覚夢とも呼ばれている。
夢の中で僕は壁を見ていた。
所々漆喰が剥がれ落ちた壁。
壁の色や質感を観察している。
「目を閉じているはずなのに、こんなにもリアルに見えるとは」
そう思いながら意識して注視する箇所を変えても尚、見え続けている。
「さすが明晰夢」
夢の中でそう思った。
「でも待て、ここまではっきり見えているということは薄目を開けているんじゃないか?」
と思い始める。
両目を開けてみる。
先ほどまでと同じように漆喰が剥がれた壁が見える。
「やっぱり薄目を開けていたか、明晰夢だと思ったのにおしかったなぁ」
と夢の僕は残念そうにしていた。
ここまでが夢だった。
夢の中で見た壁と僕の部屋の壁は全く違う。
壁の色も質感も違う、漆喰ではなく壁紙が張られている。
目が覚めた時、明晰夢キタコレと思った。