ゲームだと、勇者は伝説の地図を手に入れる。
宝のありかが書いていて。
魔王の住む場所が書いている。
その通りに進んで、倒すべき相手を倒して、得るものを得て
ハッピーエンドになる。
でもさ、なんで、勇者は疑いなくその地図通りに進めるんだろう？
偽物かどうか疑わないのかっていう疑問もあるけど、
本物だとしても、どうしてその地図通りに生きようって思えるんだろう？
どうやって受け入れたんだろう。
今、私の手には運よく地図のようなものがある。
運よく、っていいかたは悪いかもしれない。
いろんな人が関わって私の手元に運んでくれた地図。
なんで私にまで届いたのかは不思議だけど、まあ、それはそれで。
親に決められた進路とか、環境に強制された道筋とか、
子どもの頃の夢とか、そういうのじゃないよ。
それに多分おかしなものじゃない。
ちゃんとした、ハッピーエンドのための地図。
なんでかな、俺はその地図通りに行けばいいってわかってるのに
最近しんどくてたまらないんだ。
間違ってないことをするのって少し苦しくない？
間違うことは苦しいけどさ、
…なんかうまくいえない。
なんでさ、みんな頑張れるのかな。
頑張って生きていけるのかな。
地図はある。ゴールもある。それは知ってる。
自分のことに思えない。
なんで。
地図上の魔物とか峠とか、そりゃそれは苦しいんだろうけど
そこまでたどり着いてない平坦な2番目ぐらいの街の道路で立ち止まってる。
去年はそうじゃなかったんだけど。もらった当初は。
ほんの少し進んで、しんどくなってきた。
何のために生きてるんだろうって
最近ずっと考えている
ハッピーエンドを迎えるにはきっと
地図通りに進むしかないとは知ってるけど
そのためと言われれば言い返せないんだけど
他の道があるとか、地図を放棄してもいいとか、
そういうわけじゃないのね。
だってどんなに幸せそうでも、最後は地獄なの。
町を支配しようと、お金持ちになろうと、
家族ができようと、英雄になろうと、
結局死んだら何もかもなかったことになるんだから。
金も名誉も愛も健康も最期には役に立たないで、一人ぼっちで死んじゃう。
自分に残るものなんて、何一つない。
それでも幸せになるために、やっと手に入れた地図なの。
なのに、
なんでだろうね、その通りに進む気が起きない。
嫌になる。
まわりのみんな、ちゃんと進むんだけど、俺は立ち止まっている。
誰かにこの地図を広めたいんだけど、
その気力も尽きかけている。
また、自傷を始めた。
誰かに迷惑をかけないと生きていけないことに嫌気がさしている。
俺はかなり気にかけてもらっている方で、
一緒に組んでいる人は責任者の立場もあって逃げられなくて
ストレスフルで壊れかけに見えるのに頑張っている。
すごいと思うしなんか尊い人やなと思うけど、正直、よく分からない。
なんで頑張れるんだろう。
苦しいって言いながら、SOS出しながら、
結局自分を犠牲に頑張っている。
努力はどこかで報われる。
そのときじゃなくても、いいことは返ってくる。
それでも、俺は頑張れない、その気になれない。
せめて何かできればいいんだけど
俺はその人の代わりになれない。
悔しいけど、何一つ代わってあげられない。
無力感と劣等感を常に感じる。
来年には俺があの立ち位置にいる。
その人が忙しくなるんで、多分。
でもきっとああはできないんだろうなと思う。
できないと、いけないのだろうけど、今のままじゃ、
少しだけ、死にたくなっている。
逃げたいと死にたいを毎日連呼している
それでずっと泣いている
けっこうメンタルが弱いのだ
全部やめて逃げ出したいが、上述のとおり他がないらしい。
逃げるのは自由。でも、逃げたところで。
まあ、環境上ほぼ逃げられないんだが
何のために今の生活があるのか
本当にいらいらしている
もともと持っていた目標がこなっごなになって
やりたかったこともたくさん諦めて
いただいた地図のために進もうとして
急に、俺って何やってるんだろうって思ってしまった
いっそ地図なんてなければ、と思うこともある
何なら毎日考えている
破り捨てたくてせいせいしている
でももう破っても意味がない、頭に残ってるから
最短ルートを探して仲間もできてしまった
切り捨てるならそれは今の生活全部を捨てて
恩知らずになって逃げださなきゃいけない
相当な覚悟で幸せを捨てなきゃいけない
故郷も今の住所も仲間も友達も恋人も恩人も思い出も全部さよならだ。
地図のことを知らない人とも縁が切れるだろう。
こっそり進めなきゃいけないし夜逃げになるだろう。
しかも幸せになれない。
それでもそうすれば、
…よくそんな想像をする。
裏切り者。
目標のために選んだ道筋で、
やりたいことがあって用意したものがあって、
それをすることできっと幸せになれるって思ってて、
それを全部ひっくり返されて、
地図が手に入って全部変わった
俺はなんで生きているんだろう。
なんで死んじゃいけないんだろう。
