7月最後の仕事終わり。
駅から歩き国道を渡ったところで、曇った夜空の一隅がぼんやり光っていることに気づいた。
歩きながら眺めていたら、雲はうねりつつ形を変えて、隙間から輝くフルムーンが現れた。
今夜は満月か。
白くまるい大きな月と濃い灰色の空の対比、照らされて浮かび上がる周りの雲の立体感がなんとも言い得ぬ趣。
立ち止まりしばし見とれていると、月はふたたび雲に覆われてしまった。
ほんの一時、雲と風の偶然がつくった、絵画のような景色だった。
今この空を見ていた人はどれくらいいたのかな。
自分はなんにもしていないのだけれど、特別なことをしたような、誇らしいような気持ちで帰路に就いた。