ある日のこと。
7才の娘が学校から嬉しそうに帰ってきて、
「今日ね!いいもの見たんだ!」
「何?」
と、おやつの準備をしていたら…
「あのね!きれいな車見たの!」
「きれいな車?」
「うん!おうちみたいな屋根がある、黒い車!」
うっ…
それは…
「あのね…それはね…霊柩車。死んだ人の体を、棺って箱に入れて、火葬場って、死んだ人の体を焼く所まで運ぶ車なんだよ」
「こわい!」
「死んだらね、皆、そうやって焼かれるんだよ。そして、死んだ後の世界に行くの」
「天国とか、地獄とか?」
「そう!」
近くの閑古鳥が鳴いていたお店がなくなり、新しく葬儀場が出来て、お葬式は無かったけど、霊柩車が止まっていた日の話です。
霊柩車と知らない娘にとっては、
『きれいな車』
って思うんだ…
先入観がないとそう感じるんだ、と新鮮に思いました。
後日。
3月に私の祖父母の法事があるので、それを娘に言ったら、
「かーさんのおじいちゃんとおばあちゃんも、あの、お屋根のある車に閉じ込められて、連れていかれたの?」
閉じ込められて…って、極端な!(笑)と思いつつ、
「閉じ込められた訳じゃないけど、あの車で運ばれて、火葬場まで行ったよ。そして、きっと、天国に昇っていったよ。そしてさ、ひ孫を見るんだ!って、言っていたから、見守ってくれているよ」
「そっかぁ…」
と納得し、
「おーやーつー!」
の娘の声とともに、4才の息子も、
「おーやーつー!」
とコーラスが始まりました…